アトモキセチン(ストラテラ)の副作用がきついポイントを症状別に解説

ストラテラは副作用がきついってホントなの?

ストラテラにはどんな副作用があるんだろう?

このようなお悩みを
お持ちではありませんか?

この記事では、ストラテラの副作用が出る理由具体的な副作用の症状、また急に服用をやめると危険な理由について解説していきます。

この記事がストラテラの副作用に対する不安を取り除くための助けになれば幸いです。

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ストラテラの副作用が出る理由

アトモキセチンは注意欠陥多動性障害(Attention deficit hyperactivity disorde / ADHD)の治療薬として認知されている薬です。

神経伝達を行うシナプスという部分に存在している「ノルアドレナリントランスポーター」を阻害して、神経伝達物質であるノルアドレナリンの濃度を上げることで神経伝達を活性化していると言われています。

ADHDの方は「脳の前頭前野という部分あるノルアドレナリンが不足している」とされています。そこでアトモキセチンは前頭前野において、ノルアドレナリンの再吸収を阻害し、シナプスのノルアドレナリンの濃度を上げて神経伝達を活性化させることで治療を行います。

ただ、ノルアドレナリンは前頭前野のみならず体のあらゆる場所で神経伝達物質として働くため、アトモキセチンが前頭前野以外で作用した場合はその作用が副作用として現れます。またノルアドレナリンは特に交感神経の神経伝達物質として働くことが多いため、副作用も交感神経が活性化された際に生じる体の反応と似たものが多いです。

【消化器系】ストラテラの副作用|吐き気・食欲低下・腹痛

アトモキセチンは消化器症状の副作用が多く、悪心(31.5%)、食欲低下(19.9%)、腹痛、嘔吐、便秘(5%以上)などが挙げられます。腸は第2の脳と言われるほど神経伝達物質と深く関わっており、さまざまな刺激を受けて腸管運動が悪くなったり、活性化したりします。

アトモキセチンの投与により交感神経が活性化されると、腸管の運動が悪くなってしまいます。それによって吐き気や食欲低下、腹痛や便秘などの症状が生じます。

【精神神経系】ストラテラの副作用|頭痛・めまい・眠気・不眠・イライラ

アトモキセチンはもともとADHDに対する治療薬なので精神神経系の副作用もいくつかあります。中でも「頭痛(15.4%)」「傾眠(15.8%)」「浮動性めまい」「不眠症」といったものが代表的です。とくに頭痛に関しては、神経周囲の血管の拡張や硬膜の血流不足などさまざまな要因が考えられます。

交感神経が優位になると人は不眠になりますが、アトモキセチンの効果が切れると相対的に眠くなってしまうことや夜間の不眠が眠気の副作用を引き起こすと考えられます。

そのため、アトモキセチンを内服すると神経が研ぎ澄まされ少しふわふわした感じになるかもしれません。また、交感神経が刺激され攻撃的な性格になり、イライラしてしまうという報告もあります。

【循環器系】ストラテラの副作用|動悸・高血圧

交感神経が優位になると心拍数が上がり、抹消の血管が収縮して血圧も上昇します。血圧は上昇しますが、血圧の調節がうまくいかず起立性低血圧を起こすこともあります。いずれも頻度としては数%とそこまで多い副作用ではありません。

【泌尿器・生殖系】ストラテラの副作用|勃起不全・頻尿・尿閉・前立腺炎

排尿や生殖系は自律神経がコントロールしています。上記で述べたように末梢の血管が収縮して血圧が上昇すると、腎臓への血流が増えて尿の産生が盛んになり、頻尿をきたします。緊張するとおしっこに行きたくなりますよね。しかし交感神経が優位になると尿道括約筋は収縮し尿閉をきたすこともあります。尿閉がひどくなると尿道で菌が繁殖し前立腺炎などの炎症を引き起こすこともあります。

また、勃起は副交感神経が優位な時に起こります。そのため、アトモキセチンにより交感神経優位な状態になると勃起不全を起こす可能性もあります。

【皮膚系】ストラテラの副作用|多汗・皮膚炎

交感神経が優位になると、汗をかきやすくなってしまいます。汗のケアが不十分で不衛生になってしまうと皮膚の炎症を起こしてしまう可能性もあります。また薬剤の成分に対してアレルギーを起こしてしまい、薬疹を起こしてしまう場合があります。薬疹に関してはアトモキセチンに限らずどの薬でもある一定のリスクは存在します。

【その他】ストラテラの副作用【体重減少・疲労感】

交感神経が高まっている状態では空腹を感じにくくなります。皆さんもスポーツをしているときや何かに集中をしている最中は空腹を感じないですよね。アトモキセチンを内服するとそれと同じような状態になり、1日の摂取カロリーが低下して体重減少を引き起こす場合があります。

また体としては常に緊張状態に近い状態になるということなので、疲労感を感じる方も稀にいます。

ストラテラ(アトモキセチン)を急にやめると危険な理由

アトモキセチンは効果の発現がマイルドな製剤です。そのため急に辞めたとしても体に何か大きな悪影響があるわけではありません。

しかし容量を上げて使用している場合は体が薬に依存している場合があるため、中止してしばらくは交感神経系の働きが鈍くなるなどの影響が出ることが予測されます。アトモキセチンを中止する場合は医師と相談して中止することをおすすめします。

FIRE院長
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よく聞かれる質問に回答していきます!

【Q1】ストラテラの眠気はいつまで続きますか?

アトモキセチンの副作用の一つである眠気は、合わない人は開始すぐに生じてしまいますが、中止後も1−2日程度で改善する場合が多いです。眠気が出てしまう人は使い続けたとしても慣れることは少ないため、内服を中止しない限りはずっと続く可能性が高いです。

【Q2】ストラテラを飲むと運転できないのは本当ですか?

アトモキセチンは副作用で眠気やめまいが起こる可能性があるため、添付文書には内服した場合は運転を控えるようにと記載されています。

”眠気、めまい等が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。”

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00067712

【Q3】ストラテラを飲むと寿命が短くなるのは本当ですか?

アトモキセチンを飲んだからと言って寿命が短くなることはありません。アトモキセチンと死亡の関連がある事項をあげるとすると、ADHDの患者に対するアトモキセチンの治験中に自殺を行った人がいるそうですが、ADHDの場合そのほかの精神疾患を併発している場合が多く、その影響の方が大きいという見解で直接的な因果関係は認められませんでした。

まとめ

ストラテラはノルアドレナリンの濃度を上げることで神経伝達を活性化させる薬です。この作用が前頭前野以外で起きたときに副作用があらわれやすいとされています。ノルアドレナリンは交感神経の刺激物質であり、副作用も交感神経優位で見られるものが多いです。

また、容量を上げて服用している場合には身体が依存している場合も多く、急にやめると交感神経が正常に作用しなくなる恐れもあるので医師の指示の下で薬の調整をしましょう。

参考

https://www.hindawi.com/journals/crim/2011/952584/
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00067712

PROFILE

江越 正敏FIRE CLINIC総院長
2017年 佐賀大学医学部 卒業
2017年 都立松沢病院 勤務
2019年 都立多摩総合医療センター 勤務
2020年 FIRE CLINIC新宿院 開院
2021年 渋谷院、銀座院開院
2023年 新宿、渋谷、銀座、名古屋の4院に展開しFIRE CLINIC総院長を務める。