肥満だと不妊症になるって本当?【ダイエット方法解説付き!】

太っているだけで、本当に不妊症になるの?

妊活中のダイエットはどうすればいい?

このようなお悩みを
お持ちではありませんか?

肥満だと、妊娠しにくいというのは本当です。性別に関わらず、男女どちらも減量した方がよいでしょう。

この記事では、肥満だと不妊になる理由」「肥満が不妊治療に与える影響」「不妊になる肥満体重」「不妊で後悔しないためのダイエット方法について解説します。

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肥満だと不妊症になるというのは本当

理由はいろいろありますが、男女別に考えられるものを以下に挙げました。

女性が肥満だと不妊になる理由

女性が肥満だと不妊になる理由は、以下の通りです。

・卵子の成長に支障が出やすい
・排卵機能に異常が出やすい
・黄体機能不全になりやすい

肥満で問題になるのは、皮下脂肪ではなく内臓脂肪です。なぜなら、内臓脂肪が多いとインスリンの効きが悪くなるからです。ちなみに、内臓脂肪とインスリンを仲介しているのは「アディポネクチン」というホルモンです。

内臓脂肪が増えるとアディポネクチンの分泌量が減少します。アディポネクチンは、傷ついた血管を修復したり、糖や脂肪の代謝に関係する”本来は身体に良いホルモン”です。このアディポネクチンの減少で、卵巣の表面が厚くなり、卵子の不生育や排卵障害が起きてしまいます。

また、肥満だと、受精卵の着床を困難にしたり、着床しても十分に栄養を提供できなかったりする黄体機能不全も起こしやすく、妊娠しても継続が難しくなることもあるでしょう。

男性が肥満だと不妊になる理由

男性が肥満だと不妊になる理由は、以下の通りです。

・男性ホルモンの低下やインスリン抵抗性の増大
・精子数や精子の運動率の減少、奇形率上昇
・酸化ストレスの上昇
・睾丸の温度上昇
・勃起不全の発生率の上昇

内臓脂肪が蓄積すると、男性ホルモンの低下やインスリン抵抗性の増大などの内分泌環境の変化、活性酸素の増加による炎症性変化などが起きてきます。そのため、精子数の減少や精子の運動率低下、奇形率上昇といった精液所見を悪化させると考えられているのです。また脂肪で睾丸が温められることも不妊の原因であると言われています。さらに男性ホルモンの低下が、勃起不全の発生率も上昇させています。

肥満が不妊治療に与える影響

肥満は不妊治療へも良くない影響を与えています。

2016年にアメリカで、不妊治療を受けている女性のBMIと妊娠、出産の関連性を調査するために、後ろ向きコホート研究(494,097性周期、402,742胚移植、180,855妊娠)が実施されました。この研究では、肥満女性は標準体重女性や低体重女性と比較して、体外授精時の妊娠率が減少し、流産率は上昇していると報告しています。

Extremities of body mass index and their association with pregnancy outcomes in women undergoing in vitro fertilization in the United States

不妊治療を受けるにしても、肥満ではない方が良いということです。

不妊になる可能性が高い「肥満体重」

肥満度は、体重と身長から計算する体格指数BMI(Body Mass Index)で表わされます。BMIは国際的に用いられている体格指数ですが、以下のように計算します。

BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

【例】身長1.74m、体重68kgの場合:68÷1.74÷1.74=22.46

計算方法は世界共通です。判定基準は国によって違い、日本肥満学会ではBMI18.5以上25未満を普通体重、18.5未満なら低体重(やせ過ぎ)、25以上の場合を肥満に分類しています。

日本肥満学会|肥満

BMI値22の体重が、最も病気になりにくいとされています。

女性ならBMI25以上

女性の不妊になる肥満体重はBMI25以上です。ただ、BMIは高くても低くても妊娠のためにはよくありません。

妊娠を考えるのであれば、BMI値は普通体重の18.5〜25.0の範囲内で管理しましょう。適正範囲内であれば、BMI値が19〜22.9が最も妊娠率が高いと言われています。また、BMI値が低くても高くても、流産率も高くなっています。低いとは低体重(やせ過ぎ)の18.5未満、高いとは肥満の25以上です。

男性ならBMI30以上

男性の不妊になる肥満体重はBMI30以上です。

2020年に中国で計 2,301,782 組のカップルを対象に、後ろ向きコホート研究が行われました。この研究では、妊娠に最適な BMI レベルは、男性では22.69 ~ 27.74 kg/m2と報告しています。

Couples’ prepregnancy body mass index and time to pregnancy among those attempting to conceive their first pregnancy

この研究の女性の最適BMI値は、20.61~23.06kg/m2と報告されています。男性の場合、女性よりは高いBMI値(やや肥満気味)でも良いようですが、BMI30以上は好ましくないでしょう。

不妊で後悔しないためのダイエット方法3選

「肥満であるがために、不妊症になってしまう…」
であれば、後悔しないように「ダイエットしよう」と思った方も多いのではないでしょうか。ここでは、ダイエット方法を3つ紹介します。

肥満だけでなく、やせ過ぎも妊娠しにくくなるおそれがあります。適正BMI範囲内になったら、体重維持を心掛けましょう。

① 食生活を見直す

食生活を見直して整えるのが、ダイエットの基本です。しかし、間違った食事制限は減量には役立ちますが、栄養バランスが悪いので不健康になってしまう可能性があります。適正BMでも不健康であれば、妊娠しにくくなってしまいます。

妊活中の食事によるダイエットでは、以下のことに注意しましょう。

・栄養バランスの良い食事をしながら、全体の量を減らす
・できるだけ筋肉を維持しながら減量する
・生理が終わってから2週間くらいが、減量しやすい

「糖質オフダイエット」のような1つの栄養素を制限する方法は、妊活中には控えましょう。体重が減ると筋肉も減ります。健康的に減量するために、筋肉維持に必要なたんぱく質は必要量摂るようにしましょう。筋肉の減少を緩やかにできるでしょう。

また、基礎体温測定はダイエットにも役立ちます。生理終了後の低体温期1週間と、その後の基礎体温が上昇する1週間くらいが減量しやすい時期です。

② 適度な運動をする

適度に運動することは妊娠へ良い影響をもたらしますが、過度な運動は悪い作用が及ぶことが推測されています。適度な運動としては、ウォーキングやガーデニング、ヨガ、ゴルフ、ゆっくりとしたサイクリングなどが挙げられます。運動はどのくらいするかも大切です。

具体的なメニューの例を下記に挙げてみました。

・ウォーキングを毎日35分間(週末だけなら2時間)
・ランニングを毎日20分間(週末だけなら1時間10分)
・サイクリングを毎日15分間(週末だけなら50分間)

特にウォーキングは手軽に始められる運動です。毎日35分間が無理でも、2~3日に1回とか、買い物のついでに、という感じで始めるのも良いでしょう。

③ 医学的なダイエット治療を受ける

自己流ダイエットはリバウンドが多いうえに、なかなかうまくいかないことが多いものです。「以前に何度もダイエットに失敗してしまった…」という方も多いでしょう。そのような方は医学的なダイエット治療を受けることを検討してみてはいかがでしょうか。

ダイエット治療では、医学的管理下で、安全に効果を出せるように治療プログラムが開発されています。空腹感をあまり感じず、低カロリーで必要な栄養素は欠かさない、効果的なダイエットです。プログラムはクリニックによって異なりますが、リバウンドが起きないように、減量していきます。

肥満だと不妊症になるって本当?|まとめ

この記事では、「肥満だと不妊になる理由」や「肥満が不妊治療に与える影響」「不妊になる肥満体重」「不妊で後悔しないためのダイエット方法」を解説してきました。

肥満だと、不妊症になりやすいものです。妊娠を希望しているのであれば、男女どちらも減量した方が良いでしょう。ダイエットの目安は、女性ならBMI25未満、男性なら30未満にします。低体重も妊娠には好ましくないので、目標に達したら、その体重を維持するようにします。

ダイエット方法は食生活の見直すことと適度な運動が基本ですが、自己流だとリバウンドやうまくいかないリスクがあります。心配な場合は、医学的なダイエット治療を受けることも検討してみましょう。

PROFILE

江越 正敏FIRE CLINIC総院長
2017年 佐賀大学医学部 卒業
2017年 都立松沢病院 勤務
2019年 都立多摩総合医療センター 勤務
2020年 FIRE CLINIC新宿院 開院
2021年 渋谷院、銀座院開院
2023年 新宿、渋谷、銀座、名古屋の4院に展開しFIRE CLINIC総院長を務める。