ケトジェニックダイエットで食べていいものと効果的なやり方

ケトジェニックダイエットで何を食べていいのか分からない

ケトジェニックダイエットで効果的にやせる方法が知りたい

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お持ちではありませんか?

ケトジェニックダイエットは糖質を制限することで、ケトン体をエネルギー源に切り替えて体重減少を促すダイエット方法。ただし、その効果を最大限に引き出すには、何を食べ、何を避けるべきかを正しく理解しておくことが大切です。

この記事では、以下のような内容について解説します。

・ケトジェニックダイエットの基本的な知識とポイント
・ケトジェニックダイエットで食べてもいい食材と避けるべき食材
・ケトジェニックダイエットの効果的なやり方

ケトジェニックダイエットのポイントを抑えて、効率よくダイエットを成功させましょう。

この記事の内容
ケトジェニックダイエットとは
効果的な理由
3つのポイント
食べていいもの
避けるべき食材
おすすめレシピ
外食のメニュー選び
効果を高める方法
よくある質問
オンライン診療が受けられます!

ケトジェニックダイエットとは

ケトジェニックダイエットは糖質を制限し、代わりに脂質とタンパク質を中心にした食事で体重減少を目指すダイエットです。このダイエットのポイントは、体をケトーシス(体内にケトン体が増えている状態)に導くことであるといえるでしょう。

通常、身体はエネルギー源として糖質を利用しています。しかし、糖質を制限することによって、脂肪を分解したときに生じるケトン体をエネルギー源として使い始めます。これがケトーシスの状態であり、脂肪の消費が促進されるためダイエット効果が期待できるのです。

ケトジェニックダイエットでは、ケトン体のもととなる脂質をしっかりと摂取することが成功のカギとなります。

ケトジェニックダイエットが効果的な理由

ケトジェニックダイエットは体重減少効果が高いとされ、糖尿病の食事療法にも利用されています。ここでは、ケトジェニックダイエットが体重減少に効果があるとされる理由を解説します。

脂肪燃焼が促進する

ケトジェニックダイエットでは、効率よく脂肪を燃焼できるようになります。

人間はまず、糖質をエネルギー源として身体を動かしています。しかし、糖質を摂りすぎていると脂肪がエネルギーとして消費されず、蓄積されてしまうのです。

そこで、ケトジェニックダイエットによってケトーシスの状態になると、糖質の代わりに脂肪を分解したときに生じるケトン体を主要なエネルギー源として利用するようになります。体内に蓄積された脂肪が積極的に燃焼されるようになるため、自然に体重が減少していくのです。

食欲が抑制できる

ケトジェニックダイエットのメリットの一つは、食欲をコントロールしやすい点です。[1]ケトジェニックダイエットでは、脂質やタンパク質を十分に摂取することが推奨されています。

脂質とタンパク質は満腹感を得やすいため、無理なく食欲を抑えることが可能です。タンパク質と脂質は消化がゆっくり進むため、長時間の満腹感を維持しやすいとされています。また、タンパク質は小腸から食欲を抑制するホルモンの分泌を促します。[2]

ケトジェニックダイエットは、食べ過ぎを防ぎ、無理なく続けやすいダイエットといえるでしょう。

血糖値の上昇を抑えられる

ケトジェニックダイエットは、血糖値を安定させる効果があります。食後の血糖値は糖質の摂取によって急激に上昇し、血糖値を下げるためにインスリンというホルモンが過剰に分泌されます。インスリンは脂肪を蓄積する作用があるため、ダイエット効果を妨げてしまうのです。

ケトジェニックダイエットでは、糖質の摂取を大幅に制限します。そのため、食後の血糖値の急激な上昇が抑えられ、インスリンの分泌も穏やかになるのです。[1]

糖質による血糖値の急上昇を防ぐことも、ダイエット効果の一つといえるでしょう。

ケトジェニックダイエットのポイント

ケトジェニックダイエットの具体的なやり方と、成功するためのポイントを見ていきましょう。

① 1日の必要エネルギー量を把握する

ケトジェニックダイエットを始める前にはまず、1日に必要なエネルギー量を把握しておきましょう。

一般的に活動量が少ない成人女性の1日のエネルギー必要量は、約1,400~2,000kcalです。男性ではやや多く、約2,000~2,400kcalとされています。[3]

ケトジェニックダイエットではこの1日の必要エネルギー量を目安に、食事をバランスよく摂取する必要があります。

② 摂取カロリーを算出する

1日の必要エネルギー量を把握したら、栄養素別の摂取カロリーを算出してみましょう。

ケトジェニックダイエットでは、PFCバランス【Protein(タンパク質)、Fat(脂質)、Carbonhydrate(炭水化物)の3大栄養素のバランス】が重要視されています。

ケトジェニックダイエットで推奨される1日の食事でのPFCバランスは、以下のとおりです。

・タンパク質:20~25%
・脂質:70~80%
・炭水化物(糖質):5~10%

とくに、糖質の摂取量は50g以下に抑えることが重要とされています。[1]

PFCバランスに基づく各栄養素の必要グラム数は、以下のようになります。

必要エネルギー量が1,500kcalの場合

・タンパク質:約75~94g
・脂質:約117~133g
・炭水化物(糖質):約19~38g

必要エネルギー量が2,000kcalの場合

・タンパク質:約100~125g
・脂質:約156~178g
・炭水化物(糖質):約25~50g

ケトジェニックダイエットでのPFCバランスは、とくに炭水化物(糖質)を厳しく制限したものとなります。

炭水化物は、糖質と食物繊維を合わせたものです。炭水化物が多い食品の中でも、とくに糖質の高いものは避ける必要があります。

これらの目安を基に、PFCバランスに沿った食事を摂取しましょう。

③ バランスの摂れた食事を意識する

ケトジェニックダイエットを成功に導くカギは、バランスの摂れた食事をすることです。

PFCバランスを意識し「糖質を摂りすぎない」「脂質とタンパク質をしっかりと摂取する」ことを、日々の食事で意識しましょう。

ケトジェニックダイエットでは食事管理を続けることにより、数日~1週間程度で身体をケトーシスの状態へと導きます。

ケトジェニックダイエットで食べてもいいもの【食材一覧】

ケトジェニックダイエットでは糖質を控え、脂質とタンパク質をメインとした食事が基本です。

ケトジェニックダイエット中に食べてもよい食材例を、以下にまとめました。

食べてもよい食材を組み合わせて、1日の食事内容を考えてみましょう。

肉類・魚類・卵・大豆製品

肉類
鶏肉(脂質の摂取のために皮付きがよい)
豚肉
牛肉
ラム肉
ハム、ソーセージ、ベーコン

※加工肉は他の肉類に比べて糖質が多いため、摂取量には注意してください。

魚介類

マグロ
いわし

鯖、鯖の水煮缶
ほたて
あさり
カニ
その他

大豆製品

これらの食品はタンパク質として、ケトジェニックダイエットでは食べてもよい食材とされています。

ただし、鶏の唐揚げやとんかつなどの衣のついた食品は糖質が多いため避けましょう。[4]

野菜類・キノコ類

  • ブロッコリー
  • カリフラワー
  • キャベツ
  • きゅうり
  • アボカド
  • なす
  • 玉ねぎ
  • ほうれん草
  • キノコ類(きくらげ、マッシュルーム、しめじなど)

ケトジェニックダイエットでは、葉物野菜やブロッコリーなどの野菜類は摂取可能です。ただし、根菜類は糖質が多いため控えましょう。

キノコ類は炭水化物が多い食材ですが、食物繊維が多く糖質は少ない食材です。便秘予防や食感のアクセントにもなるため、キノコ類は積極的に摂取したいですね。[4]

乳製品

  • 生クリーム
  • チーズ
  • クリームチーズ

これらの食材は、脂質、タンパク質を多く含む食材です。積極的に摂取したい食材といえますね。[4]

油脂類

  • バター
  • ココナッツオイル
  • オリーブオイル
  • マヨネーズ

ケトジェニックダイエットにおいて、脂質はエネルギー源となる重要な食材です。
油脂類は、料理にコクを与え満足感をプラスしてくれます。上手に食事に取り入れていきましょう。[4]

その他の食材

  • ナッツ類
  • 一部の調味料(塩、コショウ、酢、しょうゆ)
  • ウイスキー、シャンパン(無糖のみ)
  • ブラックコーヒー、お茶(無糖のみ)

水分補給時には、無糖のお茶や水は飲んでもかまいません。また、無糖であればウイスキーやシャンパンなどのアルコールは摂取可能です。[4]

ケトジェニックダイエットで避けるべき食材

ケトジェニックダイエットを成功させるためには、糖質の多い食材を避ける必要があります。

ケトジェニックダイエットにおいて避けるべき食材は、以下のとおりです。[4][5]

果実類:全般
豆類:えんどう豆、ひよこ豆など
穀物類:小麦、そば、コーンなど
根菜類:じゃがいも、さつまいも、にんじん、レンコンなど
菓子類:砂糖入りのお菓子全般、スナック菓子など
アルコール類:甘いお酒、ビール、ワインなど
飲料:清涼飲料水(砂糖の入った飲み物)、スムージーなど
一部の調味料:みりん、ソース類、ケチャップ、ドレッシング(ノンオイルでもNG)など

ケトジェニックダイエット中は、糖質や甘いものの摂取は控える必要があります。

調味料は見落としがちですが、糖質が多く含まれているものもあるため注意しましょう。

また、加工食品を食べる際には、成分表示をよく確認しておくことも大切です。

ケトジェニックダイエットで簡単にできるおすすめメニュー

ケトジェニックダイエットでは、毎食の食事管理が重要です。忙しい中でも簡単にできる低糖質メニューを、2品紹介します。[6]

鯖の水煮缶を使ったチーズ焼き

材料(1人分)

  • 鯖の水煮缶:1缶
  • ピザ用チーズ:適量
  • マヨネーズ:適量
  • コショウ(お好みで)

作り方

  • ①鯖の水煮を耐熱容器に取り出す。
  • ②①の上にマヨネーズとチーズを乗せ、お好みでコショウを振る。
  • ③オーブントースターで10分ほど焼く。

糖質ゼロ麺を使った冷やし中華

材料(1人分)

  • 糖質ゼロ麺:1袋
  • 卵:1個
  • きゅうり:1/2本
  • ハム:1枚
  • マヨネーズ:小さじ1/2

たれ

  • しょうゆ:小さじ1
  • 酢:小さじ1/2
  • ごま油:小さじ1/2
  • レモン汁:少々

作り方

  • ①糖質ゼロ麺をザルに移し、水でさっと洗い水を切っておく。
  • ②卵とマヨネーズと混ぜて焼き、錦糸卵を作る。
  • ③きゅうり、ハムを細切りにする。
  • ④たれの材料をすべて混ぜ、たれを作る。
  • ⑤麺の上に具材を並べ、たれをかける。

最近では、糖質カット食品がスーパーで簡単に手に入るようになりました。

鯖の水煮缶や市販の糖質カット食品を使えば、料理が苦手な人でも簡単に低糖質メニューを作ることができます。ぜひ、毎日の食事に取り入れてみてください。

ケトジェニックダイエット中の外食での食事選びのポイント

ケトジェニックダイエット中でも、外食を楽しむことは可能です。ただし、メニュー選びには工夫が必要です。たとえば、定食を注文する際にはごはんやパンを抜いたり、おかずのみを注文したりといった工夫をしてみましょう。

最近では、多くのチェーン店で糖質オフメニューが提供されていることがあります。これらのメニューを選ぶのも一つの選択肢です。飲み会の席では、お酒の選び方も重要です。焼酎やハイボールなどの蒸留酒は、糖質がほとんど含まれていないため、ケトジェニックダイエット中でも飲むことができます。

外食がケトジェニックダイエットの妨げにならないよう、上手にメニューを選びましょう。

ケトジェニックダイエットの効果を高める方法

ケトジェニックダイエットは、効率よく体重減少が期待できるダイエット方法です。ここでは、ダイエット効果をさらに高める方法を解説します。

食事管理を徹底する

ケトジェニックダイエットの効果を最大限に引き出すためには、毎日の食事管理が成功のカギとなります。

身体がケトーシスになった状態で「1日くらいいいだろう…」と、糖質を摂りすぎてしまうと、糖質をエネルギーとする通常のサイクルに戻ってしまいます。再度ケトーシスの状態に戻すのは時間がかかるため、ダイエットがうまくいかない原因となるのです。

ケトジェニックダイエットでは、根気よく糖質を制限した食事管理を続けることが大切です。

良質な脂質を摂取する

ケトジェニックダイエットでは脂質の摂取が重要な役割を果たしますが、その質にも注目しておきましょう。

脂質の中には、トランス脂肪酸(マーガリンや揚げ物に含まれるもの)と呼ばれる、健康に悪影響を与えるものもあります。

ケトジェニックダイエットでは、こうしたトランス脂肪酸の摂取は避け、良質な脂質を摂るようこころがけましょう。

ケトジェニックダイエットに適した良質な脂質源は、以下のとおりです。[7]

  • オリーブオイル
  • MCTオイル
  • アボカド
  • ナッツ類
  • オメガ3脂肪酸が豊富な魚(マグロ、鯖、サンマ)

ケトジェニックダイエットで重要なエネルギー源となる脂質は、こうした良質な脂質源から摂取するようにしましょう。

食物繊維を意識して摂取する

ケトジェニックダイエットでは、炭水化物の摂取を大幅に制限します。ただし、炭水化物には糖質だけでなく食物繊維も含まれているため、食物繊維の不足には注意する必要があります。

食物繊維は、便秘の予防にも効果的ですケトジェニックダイエット中は、海藻類やキノコ類など、糖質が低く食物繊維が豊富な食品を積極的に取り入れましょう。

ケトジェニックダイエットに関するよくある質問

ケトジェニックダイエットについて、よくある質問にお答えします。

ケトジェニックダイエットで痩せない理由は何ですか?

ケトジェニックダイエットで期待通りに痩せない場合、まずチェックすべきなのは食事内容です。とくに、糖質の摂取量には注意が必要です。

多くの野菜はケトジェニックダイエットに適していますが、根菜類や一部の穀物類など、糖質が多い野菜もあります。これらの野菜を過剰に摂取していないか、見直しましょう。

また、ケトジェニックダイエットでは、脂質の摂取が重要な役割を果たします。十分な脂質を摂取できていない場合、身体はエネルギー不足となり、ダイエット効果が得られにくくなります。適切な脂質の摂取量を確保しましょう。

脂質が足りない場合はどのように補えばよいですか?

ケトジェニックダイエット中に脂質が不足している場合は、MCTオイルを活用してみましょう。

MCTオイルは生食に適しているため、サラダやスープにかけるだけで手軽に脂質を摂取できます。

また、間食で脂質を摂取できる方法もあります。たとえば、ブラックコーヒーにバターを加えることで、ケトジェニックダイエット中にも美味しく手軽に脂質を補えるでしょう。

ケトジェニックダイエットでご飯の代わりになる食材はありますか?

ケトジェニックダイエット中のお米の代わりになるものとしては、しらたきごはんがよいでしょう。しらたきごはんは、米としらたきを刻んだものを混ぜて炊いたものです。ただし、お米は糖質が多いため1日1食までとし、食べる量にも注意してください。[5]

他にも、カリフラワーライスや豆腐をご飯の代わりとして活用する方法があります。カリフラワーライスは、細かく刻んだカリフラワーをご飯のようにしたものです。お米の代わりに豆腐を使った丼も、糖質を大幅にカットできるためケトジェニックダイエットに適しています。

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ケトジェニックダイエットではPFCバランスに沿った食事をしよう

今回は、ケトジェニックダイエットで食べてもよい食材や、簡単にできる低糖質メニューを紹介しました。ケトジェニックダイエットでは糖質を厳しく制限しますが、脂質やタンパク質はしっかりと摂取する必要があります。

食べていいものと避けるべきものを理解して、PFCバランスを意識した食事管理を行い、ダイエットを成功させましょう。

参考文献

[1]ケトジェニックダイエットがヒトの健康に及ぼす影響について、KDの脂質代謝改善およびダイエット効果ついて|化学と生物
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/54/9/54_650/_pdf/-char/ja

[2]A high-protein total diet replacement alters the regulation of food intake and energy homeostasis in healthy, normal-weight adults|European Journal of Nutrition
https://link.springer.com/article/10.1007/s00394-021-02747-1

[3]実践食育ナビ|農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/zissen_navi/balance/required.html

[4]食品栄養データベース|文部科学省
https://fooddb.mext.go.jp/

[5]「がん患者に対する糖質制限食治療の可能性」「ケトン食」の外来栄養指導の実際についての検討|外科と代謝・栄養53巻5号 2019年10月
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jssmn/53/5/53_225/_pdf/-char/ja

[6]ケトン食 かんたん・おいしいレシピ集(参考にさせてもらいました)|静岡てんかん・神経医療センター
https://shizuokamind.hosp.go.jp/ketonelist/01_ketone/

[7]すぐにわかるトランス脂肪酸|農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/t_wakaru/

PROFILE

江越 正敏FIRE CLINIC総院長
2017年 佐賀大学医学部 卒業
2017年 都立松沢病院 勤務
2019年 都立多摩総合医療センター 勤務
2020年 FIRE CLINIC新宿院 開院
2021年 渋谷院、銀座院開院
2023年 新宿、渋谷、銀座、名古屋の4院に展開しFIRE CLINIC総院長を務める。