4種類のシミの原因・メカニズムと対処法

この記事では、4種類のシミ(日光性黒子、炎症後色素沈着、肝斑、そばかす)についてそれぞれの特徴や発現原因などをまとめております。

また、出来にくくするような予防策や出来てしまってからの治すためにはどのような対策が必要になるのかも記載しておりますので参考にしてください。

日光性黒子(老人性色素斑)

・特徴

シミの中で最も多いのが日光性黒子(にっこうせいこくし)は、またの名を老人性色素斑と言われるシミです。

その名の通り ほとんどの高齢者には身体のどこかには日光性黒子があるといわれるくらい年を重ねると現れるシミとなります。

顔や手の甲、背中の上部、すねなどに発現する、小さいものから数センチ単位の大きいものもあり、長い間、日光に当たった部分の皮膚に生じます。

通常、痛み・かゆみなどの自覚症状はありませんが、長年放置すると隆起してイボ状になることがあります。

・原因

若年時は肌のターンオーバーが頻繫に起こるため、角質とともに排出されるはずの黒色メラニンが紫外線をたくさん浴びすぎたり、加齢によってターンオーバー機能が低下することで、黒色メラニンの生成が多くなり、ターンオーバーで排出しきれなかった黒色メラニンが色素沈着として肌に残ることで発現します。

炎症後色素沈着

・特徴

炎症後色素沈着と呼ばれるシミは、炎症をきっかけに肌内部にメラニンが蓄積してしまう状態ことを言います。火傷、ニキビや湿疹などの炎症が起きると、皮膚は新たに細胞を作り、炎症によって受けたダメージを修復しようとします。

その時、メラノサイトが刺激をうけて、メラニンを大量に生成してしまうのです。

炎症後色素沈着を治すための治療の流れとしては、メラニンが新しく生成されないようにして、蓄積しているメラニンを外に排出していけば、炎症後色素沈着はなくなります。メラニンを生成するメラノサイトはニキビ、火傷などの炎症がおこると過剰に生成されるため、炎症が落ち着けばメラノサイトの活動もそれに合わせて落ち着いていきます。 

また、メラニンを皮膚の外に排出するために、紫外線対策や睡眠・運動不足、食生活の乱れ、喫煙などの生活習慣の見直しなどを行い、皮膚のターンオーバーの活性化が大切です。炎症後色素沈着が発生しているということは、メラニンが皮膚に蓄積している状態であるため、肌の外に排出すれば薄くなります。

・原因

炎症後色素沈着の原因としては大きく分類すると下記のように分類できます。

・ニキビ、湿疹、虫さされなどはっきりとした炎症によるもの

・刺激の強い化粧品、毛抜きの使用などにより、長期的な炎症が続いた場合。また洗顔による摩擦も気を付けた方が良いです。

肝斑

・特徴

肝斑の大きな特徴は、左右対称に同じくらいの形、大きさで発現し皮膚にできる色素異常症の一つであり、形状が肝臓に似ていることから肝斑と呼ばれています。

額や口の周辺にもできることもありますが、最も多い箇所として、ほほ骨のあたりに現れ、比較的広い範囲に輪郭がはっきりしない形でモヤッと広がります。

・原因

肝斑が発現する原因としては、妊娠、アフターピルなどの経口避妊薬服用をきっかけにできることもあり、女性ホルモンの変化を関係してきます。女性ホルモンなど、体の内面からの影響が特に関係してくる肝斑ですが、紫外線により色素が濃くなることもあり、紫外線対策は万全にする必要です。肝斑は精神的なストレスによってホルモンバランスがくずれることが影響したり、過度のマッサージなどの強い外部刺激でも悪化する場合もあります。

ポピュラーで手軽な治療法は、トラネキサム酸(トラキサミン)を飲むことが多いです。トラネキサム酸は止血薬としても使われる薬でもあるので、血液を固まりやすくする作用があります。そのため、血中コレステロールが高い方や動脈硬化の持病がある人や脳梗塞や心筋梗塞など血管がつまる病気のある方は使えません。どのような機序で効果が出るのかは諸説ありますが、まだはっきりと解明されていませんが有効性は高いため治療によく用いられております。

そばかす(雀卵斑)

・特徴

一般的に馴染みのあるそばかすは、5mm以下の小さなシミが、鼻の周りを中心に散らばるように現れる皮膚にできる色素斑の1つであり、正式名称では雀卵斑と言います。文字通りスズメの卵殻の模様に色や形が似ていることから名付けられたと言われています。外国の女の子などにできているイメージを持たれる方が多いとは思いますが、実際にそばかすは白人の方にできやすい傾向にあり、日本人でも色が白い人にできやすい傾向にあります。そばかすは若い女性にできることが特徴であり、早い方では、5、6歳からそばかすができ始めます。

成長とともに量は増えていく傾向にあり、思春期になるとそれに合わせて一つ一つの色が濃くなっていく傾向にあります。

5mm以下の小さなシミが、鼻の左右に散らばるように発現します。

・原因

生まれつきの要素が強いそばかすですが、紫外線による影響により見え方が異なります。上記でも記載しましたが我々の皮膚は紫外線を浴びるとメラノサイトが活性化し、メラニンと呼ばれる色素が生成されます。

特にそばかすに関しては、紫外線によって量が増加したり、そばかすの色が濃くなったりしやすいので、日々の生活においてより一層の注意が必要になります。シミを完全に消し去ることは難しいため、日頃の生活の中でシミができないよう対策をすることが非常に重要になってきます。

◆シミに効果のある食べ物

日頃から、化粧水や日焼け止めを使用して対策をする人は多いと思いますが、それと同じくらい中からの対策も美白になるにはとても重要です。日頃から食べ物を通して体の中からのサポートを行うことで、紫外線を吸収しにくくし、皮膚にシミの発生を防止してくれます。

シミに効果がある成分を含む食材を下記にまとめたので参考にしてください。

・ビタミンC(オレンジ・アセロラ・キウイフルーツ・ゆず・パセリ・ゴーヤなど)

ビタミンCはシミやそばかすを作るメラニンのもとであるチロシナーゼの働きを抑制するためメラニンの生成を抑えることができます。また、濃くなってしまったメラニンに効果があり、シミの色素を薄くする効果があります。

ビタミンCが多く含まれる食材はアセロラ、キウイ、イチゴといったフルーツに多く含まれます。摂取する際に気を付けたいのが、ビタミンCは水溶性のため水と一緒にビタミンが流れでてしまうことがあります。そのため食べる際には、フルーツ系はさっと洗って食べるようにした方がより多くのビタミンCを摂取することが可能です。

・βカロテン(にんじん・しそ・モロヘイヤ・パセリ・ほうれん草・かぼちゃなど)

βカロテンは抵抗力をアップする効果があり、メラニンの沈着を抑制効果、肌の炎症を沈静化したりしてくれます。

また、必要に応じて体内でビタミンAに変換されます。ビタミンAには皮膚のターンオーバーを活性化させる役割があるので、シミやシワの防止に効果が期待できます。

・リコピン(トマト・スイカ・ピンクグレープフルーツ・柿・人参など)

リコピンといえばトマトに含まれる栄養素として有名ですが、他にもニンジンやスイカなどにも含まれているのでトマトが苦手な人でも安心して摂取できます。

そのリコピンには、紫外線による肌の酸化や炎症を抑制し、シワの原因ともなるコラーゲンの減少を抑制する可能性があります。ある研究機関の報告によると毎日トマトを食べた人とトマトを食べていない人の紫外線を浴びたあとの肌の赤みを比較した研究では、トマトを食べた人の方が40%程度低く、日焼けしにくいという結果が出ています。リコピンは加熱調理をすることで吸収効率が上がります。そのため油と一緒に摂るとリコピンがより吸収されやすくなるので油を使ったメニューにアレンジするのが非常に効果的です。

・ビタミンE(アボカド・ほうれん草・かぼちゃ・うなぎ・いくらなど)

ビタミンEには肌の新陳代謝のアップ、活性酵素を抑制してビタミンCの働きを助ける効果が期待されます。

ビタミンEを摂取することで、色素沈着してしまった皮膚細胞を体外に排出しやすくなり、シミを薄くしてシミの目立たなくしてくれます。ビタミンEを多く含む食材はアボカドやうなぎなどです。

ビタミンEはビタミンCとは異なり、脂溶性ビタミンですので、摂取上限があり1日のビタミンEの摂取目安量は、女性は6.5mg・男性は7mgが目安になります。

また、ビタミンEもリコピンと同様に脂と一緒に摂ると吸収効率がアップするため、炒め物料理と一緒に摂取するのが良いです。

・Lシステイン(マグロ・鶏肉・豚肉・牛肉・牛乳・チーズ・納豆・豆腐など)

L-システインは過剰に作られたメラニンを肌の外に排出するためのターンオーバーを活性化する働きがあります。

注意が必要なのは、L-システインは食品の中には存在しない栄養素です。

マグロ・鶏肉・豚肉・牛肉・牛乳・チーズ・納豆・豆腐・しらす干しなどに多く含まれる必須脂肪酸であるメチオニンを摂取することで、体内で生成されます。

・エラグ酸(いちご・ブルーベリー・ラズベリー・ザクロ・ナッツ類など)

エラグ酸はたくさん摂取しても問題ないと言われており、効果としてはメラニンの生成抑制に加えて抵抗力アップ効果も期待できるため、紫外線やストレスが原因の肌荒れを防いでくれます。

まとめ

4種類のシミについて共通することは、如何に新しいメラニンの生成を抑えて、出来てしまったシミに対しては肌のターンオーバーを促して外に出すことが重要です。

そのためには、日焼け止めや化粧水などの外部からのケアだけではなく内部から対策を行うことでシミの出来にくい環境を整えることが、とても大事になってきます。シミに悩んでいる方々にとって参考になれば幸いです。

ファイヤークリニック

PROFILE

江越 正敏FIRE CLINIC総院長
2017年 佐賀大学医学部 卒業
2017年 都立松沢病院 勤務
2019年 都立多摩総合医療センター 勤務
2020年 FIRE CLINIC新宿院 開院
2021年 渋谷院、銀座院開院
2023年 新宿、渋谷、銀座、名古屋の4院に展開しFIRE CLINIC総院長を務める。