メトホルミン

作成: 2023年04月11日

更新: 2023年04月22日

メトホルミンとは

メトホルミン（メトホルミン塩酸塩）はもともとは糖尿病の薬として製品化されたもので、ダイエット効果やアンチエイジングの効果が期待されるお薬です。
糖質の吸収を抑えて太りにくくする効果や、脂肪を優先的にエネルギーとして使用する効果があります。

メトホルミンは「ビグアナイド系糖尿病薬」の一種で、60年以上の長い使用実績がある薬で、現在も世界中で使用されています。

メトホルミンの効果

メトホルミンには多面的なダイエット効果があります。
その中でも体重減少効果は、基礎代謝の改善よりも食欲の低下によるものが大きいです。

食欲抑制	GLP-1やPYYなどの分泌が増加し、脳内や消化管に働きかけることで食欲が低下
血糖値の上昇防止	肝臓や筋肉での糖代謝を促進したり、糖質を排出したりして、血糖値の上昇を防ぐ
脂肪燃焼	エネルギー代謝調節遺伝子の発現を調節する酵素であるAMPKを活性化させることにより、脂肪が燃焼
アンチエイジング	筋肉量や筋肉の収縮力を増加させる
細菌叢の調節	悪玉菌や中性脂肪を減少させ、善玉菌を増加させる

食欲の低下

メトホルミンは痩せホルモンであるGLP-1（グルカゴン様ペプチド-1）やPYY（ペプチドYY）の分泌を増加させます。
分泌されたこれらの痩せホルモンが直接、脳内や消化管に働きかけて食欲を低下させる仕組みになっています。

血糖値の上昇防止

メトホルミンは消化管で糖の吸収を抑制することにより、血糖値の上昇を抑える・緩やかにする効果があります。
このことで摂取した糖質（ブドウ糖）が中性脂肪として脂肪細胞に蓄えられることを防ぎます。

また2020年に神戸大学の研究によって、メトホルミンの作用によって糖が便中へ排泄される効果があると新たに発見されました。¹

脂肪燃焼

メトホルミンは肝臓でAMPK（AMP活性化プロテインキナーゼ）を活性化させます。
AMPKとは体内の「燃料センサー」とも呼ばれ、糖や脂肪の合成は抑制することで運動と同じような効果が得られます。
また同時に糖新生を抑制することで筋肉量を維持したまま、肝臓や骨格筋細胞での脂肪の燃焼を促進します。

アンチエイジング

メトホルミンには加齢や発癌を予防するアンチエイジング効果も近年注目を集めています。
動脈硬化の抑制や心血管疾患の発症リスクを減少、制御性T細胞を抑制することでがんの発症を抑えるなどの効果があります。

1: https://www.kobe-u.ac.jp/research_at_kobe/NEWS/news/2020_06_03_01.html

メトホルミンのより詳しい効果については、メトホルミンってどんなお薬？ダイエットへの効果は？をご覧ください。

服用について

服用方法

1日に2〜3回に分けて食前または食後に服用。

※飲み忘れてしまった場合は、次の食事から1回分を飲んでください。2回分を一度に飲むことは避けてください。

服用の注意点

過度な脱水・アルコールの摂取は乳酸アシドーシスを引き起こす恐れがあるため控えてください。
食事摂取量の不足、栄養バランスの偏りは低血糖を引き起こす恐れがあります。

服用できない人

妊娠中・授乳中の可能性のある方
脱水や脱水状態が懸念される下痢、嘔吐などの胃腸障害がある方
過度なアルコール摂取をされる方
乳酸アシドーシスの既往のある方

副作用

主な副作用

軽度の食欲不振、吐き気、腹部の不快感、軟便または下痢、味覚の変化、乳酸アシドーシス

詳細・対処法

一時的な症状であり、内服を続けているうちに良くなっていく場合が多いです。
稀に1万人に1人程度で重篤なメトホルミン関連乳酸アシドーシス（MALA）という副作用が存在します。胃腸症状、倦怠感、筋肉痛などの初期症状から始まり、過呼吸、脱水、低血圧などに進行する場合もあります。症状が見られた場合は主治医に相談してください。