ゼニカルは痩せない?効果の真相や副作用を現役痩身専門医が解説!

ゼニカル(オルリスタット)は痩せる?やばい油便ダイエットの減量効果

医療ダイエットの痩せ薬としてよく名が挙がるゼニカル。

「ゼニカルで痩せるって聞いたけど実際のところどうなの?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。

実際、ゼニカル(オルリスタット)は、食べた脂肪の一部をそのまま排出してくれる人気のダイエット薬です。

しかし、「お尻から油が出る」とか「トイレが大変」といった声があるのも事実。

この記事では、ゼニカルの効果や副作用、正しい使い方までまとめました。どれくらいやせるの?おむつが必要ってホント?など、気になる疑問を痩身専門医の見解を交えながら解説します。

YouTubeでも解説しておりますのでぜひご覧ください!

– この記事の監修者 –

江越正敏
ファイヤークリニック総院長

佐賀大学医学部を卒業後、病院・美容クリニックでの勤務経験を経て、2020年にファイヤークリニック開業。美容医学、遺伝子学、栄養学、精神医学など肥満治療に関わる多方面から痩身医学研究と実践をする。精神科医としても臨床に当たっており、西洋医学から東洋医学に渡って世界中から集積した独自の短期集中型医療ダイエット「ファイヤーメソッド」を開発。

ゼニカル(オルリスタット)とは

ゼニカル(オルリスタット)とは

ゼニカルは、脂肪の吸収を抑えて体重減少をサポートする医療用ダイエット薬です。

アメリカでは肥満治療薬としてFDA(アメリカ食品医薬品局)に認可され、肥満外来などで長年使用されています。

日本では保険適用ではなく自由診療となりますが、2003年には厚生労働省による「医薬品安全情報VOL.1 No.38」で、体重減少効果と安全性が確認されています。

ゼニカルという名前がよく知られていますが、オルリスタット・オルリファス・ビーファットなど、成分が同じジェネリック製品もあります。作用はどれも基本的に同じです。

最近では、海外サイトから個人輸入するケースもありますが、成分の不明瞭さや副作用のリスクもあるため要注意。処方を希望する場合は、必ず医師の診察を受けて、信頼できる医療機関から処方してもらうことをおすすめします。

ゼニカルとアライの違い

ゼニカル アライ
成分量 120mg 60mg
入手方法 医師の処方が必要 ドラックストア
効果の高さ 高い やや穏やか
用法 食事のたびに1回服用 食事のたびに1回服用
副作用 油漏れが出やすい 油漏れは出にくい
安全性 医師の指導あり 自己管理

ゼニカルとアライは、どちらも同じ成分「オルリスタット」を含む脂肪吸収抑制薬です。

ただし、ゼニカルは医療用医薬品、アライは市販薬として販売されており、成分量や購入方法、効果の強さに違いがあります。

たとえば、ゼニカルは医師の診察を経て処方されるため、安全管理やフォローの面で安心感があります。

一方アライは、日本ではじめてダイレクトOTC(医療用医薬品を経ずに市販される医薬品)として販売された内臓脂肪減少薬で、ドラッグストアなどで手に入るセルフケア向けのダイエットサポート薬です。そのぶん効果は穏やかですが、試しやすさという点ではアライにもメリットがあります。

どちらも「油をカットする」という働きは共通していますが、目的や体質に合わせて選ぶことが大切です。

ゼニカルのダイエット効果

ゼニカルは、食事から摂った脂肪の約30%を吸収させずに体外に排出する働きがあります。

そのため、摂取カロリーを直接カットできる=痩せることにつながる仕組みです。

そのカギとなるのが「リパーゼ」という消化酵素。ゼニカルはこのリパーゼの働きをブロックし、脂肪が分解・吸収されるのを防ぎます。分解されなかった脂肪はそのまま便として排出されるため、体に蓄積されにくくなるのです。

実際の効果は、複数の臨床試験でも確認されています。

二重盲検定でプラセボ群と比較したところ、ゼニカル(オルリスタット)と低脂肪食を1年間併用した群は約10%の体重減少を認めた。
Rev Med Burx 1999 Jun;20(3):159-63.

オルリスタットと低脂肪食を併用することにより、明らかな体重減少効果と共に高血圧、糖尿病、高脂血症の改善を認めた。
Anne Ballinger 2005 Feb;24:841-847

つまり、ゼニカルは単独でも一定の効果がありますが、低脂肪食と組み合わせることで最大限の効果を発揮します。

ただし、ここでいう「低脂肪食」とは、脂質由来のカロリーを総摂取カロリーの20%未満に抑える食事法のこと。たとえば、成人女性が1日1800kcalを摂取している場合、脂質は40g未満(360kcal以下)が目安になります。

これは、板チョコなら約2枚チーズバーガーなら約3個でオーバーしてしまう量です。

FIRE院長
FIRE院長
ゼニカルは低脂肪ダイエットと併用する方が効果は最大化できますが、低脂肪ダイエットと併用しなくても体重を落としていくことは可能です。

ゼニカルの内服方法について

ゼニカルは、1日3回食事中または食後1時間以内に1錠(120mg)を服用するのが基本です。食事に含まれる脂肪の吸収を抑える薬なので、脂質を含む食事と一緒に飲むことで効果を発揮します。

服用後は油分が便として出やすくなるため、すぐにトイレに行けない場面では避けたほうが安心です。外出前や長時間の移動があるときは、無理に飲まずタイミングを調整してください。

また、一般的ではありませんが、外食や揚げ物など脂っこいメニューのときだけ飲むといった使い方をしているケースもあります。

ただし、しっかり体重を落としたい場合は、毎食のタイミングで継続的に服用するほうが効果は出やすくなります。

飲み忘れても2回まとめての服用はNGなので要注意。食事から1時間以上経っていれば、その回はスキップし、次回からまた通常通り服用しましょう。次の食事でふだん通りに飲めば問題ありません。焦って追加で飲んだり、量を増やしたりしないよう注意が必要です。

FIRE院長
FIRE院長
私のおすすめの飲み方は、友人と食事をとる際に内服しています。みんなの前で食べないのは失礼になる時もあるので、どうしても油っぽいものを食べないといけない時やダイエット中のパートナーとのディナーの時などがおすすめです。

ゼニカルの副作用

  • 頻度が高い副作用:脂肪便(油っぽくオレンジ色の便)、下痢、油漏れ、おならの増加
  • まれに起こる副作用:肝障害、腎障害、胆石症、膵炎、血便など

ゼニカルの代表的な副作用には、下痢・脂肪便・おならの増加・油漏れ・便失禁・ビタミン不足などがあります。

まれに肝障害・腎障害・胆石症・膵炎・血便といった重めの副作用が報告されることもありますが、頻度は高くありません。

なかでもとくに多いのは、脂肪便と呼ばれるオレンジ色で油っぽい便や突然の油漏れです。お腹がゆるくなりやすい方は、初回はナプキンやおむつをつけておくと、不意の油漏れにも慌てずにすみます。油漏れは翌日に起こることが多いので、翌朝すぐにトイレへ行ける環境での服用がおすすめです。

また、ゼニカルは脂肪と一緒に脂溶性ビタミン(A・D・E・K)も排出されやすくなるため、栄養バランスが気になる方はマルチビタミンの併用も検討するとよいでしょう。

立ち仕事や長時間トイレに行けない環境では、無理に服用せず、タイミングを調整するのがおすすめです。

副作用時の注意点
  • 初回はナプキンやおむつの使用がおすすめ
  • 翌朝トイレに行ける日を選んで飲む
  • 長時間トイレに行けない状況では服用を避ける
  • 脂溶性ビタミン(A・D・E・K)が不足しやすいため、必要に応じてマルチビタミンを併用

ゼニカルのよくある質問

Q&A
  1. ゼニカルはどこで買える?
  2. ゼニカルのジェネリック医薬品はある?
  3. ゼニカルの効果はいつ現れる?
  4. ゼニカルの油漏れはいつまで続く?対策は?
  5. ゼニカルの油漏れはキトサンで防げる?
  6. ゼニカルの副作用で肺がんになるって本当?
  7. ゼニカルに死亡リスクはある?

ゼニカルを服用する前に気になる疑問をまとめました。

Q:ゼニカルはどこで買える?

ゼニカルは、美容クリニックや医療ダイエットクリニック等の自由診療にて処方してもらうのが一般的です。一部では海外の通販サイトから個人輸入も可能ですが、偽造品や不純物混入のリスクがあるため推奨されていません。

また、個人輸入の場合は医師の診察がないため、副作用が出たときの対応もすべて自己責任になります。安全性を考えるなら、医療機関で処方してもらうのが安心です。

当院でもゼニカルの処方が可能です。オンライン診療にも対応しており、忙しい方でも自宅から相談・お申し込みができます。料金は30錠18,000円(税込)です。

Q:ゼニカルのジェネリック医薬品はある?

ジェネリック医薬品はあります。ゼニカルの有効成分「オルリスタット」は、オルリファス・ビーファット・リポブロッカーなどの名称でジェネリック医薬品として販売されています。

効果や副作用はゼニカルとほぼ同等ですが、価格がやや安く設定されていることが多いです。ジェネリックが処方可能かどうかは、クリニックにご確認ください。

Q:ゼニカルの効果はいつ現れる?

ゼニカルは、飲んだその日から脂肪の吸収を抑える効果が始まります。

ただし、体重の変化を実感できるまでにはある程度の期間が必要です。

多くの場合、2〜4週間ほどで緩やかな体重減少が始まり3ヶ月〜半年でより明確な変化が見られます。低脂肪食と併用することで、より効果が出やすくなります。

Q:ゼニカルの油漏れはいつまで続く?対策は?

油漏れの頻度や期間には個人差がありますが、服用を始めて1〜2週間は起こりやすい傾向があります。食事の脂質量が多いほど、便に混じって排出される油分も増えるため、油漏れも起こりやすくなります。

予防策としては、やはり脂っこい食事を控えることが第一。ただ、脂っこいものがやめられないからゼニカルを検討している人も多いと思うので、ナプキンやおむつを活用しながら上手く付き合っていきましょう。

服用する日は、翌日にトイレへ行きやすい状況かどうかも意識しておくと良いです。

Q:ゼニカルの油漏れはキトサンで防げる?

キトサンには脂肪を吸着する作用がありますが、ゼニカルの油漏れを完全に防げる根拠はありません。

また、両者を同時に摂ると、脂肪排出の仕組みが競合して効果が不安定になる可能性も指摘されています。基本的には、食事内容を調整し、脂質を控えることで対策するのが最も確実です。

Q:ゼニカルの副作用で肺がんになるって本当?

一時期、ゼニカルと肺がんの関連性が報道されたことがありますが、現在のところ明確な因果関係は確認されていません。

FDA(アメリカ食品医薬品局)や日本の厚労省でも、通常の使用で肺がんのリスクが高まるというデータは出ていないとされています。

ただし、体に異変を感じた場合は早めに医師に相談しましょう。

Q:ゼニカルに死亡リスクはある?

ごく稀ではありますが、ゼニカル(オルリスタット)の使用中に重度の肝障害による死亡例が報告されたことがあります。アメリカFDAや日本の厚労省も、注意喚起としてこの事実を公表しています。

ただし、これらの症例は非常に稀なケースであり、はっきりとした因果関係は確認されていません
世界中で数千万人が使用してきたなかで、命に関わる副作用が起こる確率はきわめて低いとされています。

とはいえ、もともと肝機能や腎機能に不安がある方や、複数の薬を併用している場合は注意が必要です。服用中に黄疸や倦怠感、腹部の違和感などが現れた場合は、すぐに医師の診察を受けてください。

基本的には、医師の管理のもとで正しく使えば、安全性の高い薬です。不安な方は、処方前にきちんと説明を受けておくことをおすすめします。

参考文献1:This label may not be the latest approved by FDA.For current labeling information, please visit https://www.fda.gov/drugsatfda

参考文献2:FDA Drug Safety Communication: Completed safety review of Xenical/Alli (orlistat) and severe liver injury

まとめ

まとめ
  • ゼニカルはFDAに認可されており、厚生労働省にも安全性が認められている。
  • 脂肪吸収を抑えることで、約30%の脂肪を便中に排出する。
  • 体重減少、生活習慣病の改善効果がある。
  • 痩せたい人は、誰でも飲むことが出来る。
  • 最初に飲むときはナプキンをつけて、マルチビタミンを飲むのがおすすめ。

今回はゼニカルの効果と副作用、使い方を中心に説明しました。

ダイエットに効果があることがご理解いただけたら幸いです。

FIRE CLINICでも取り扱いがございますので、お気軽にご相談ください。

ファイヤークリニック

PROFILE

江越 正敏
江越 正敏FIRE CLINIC総院長
2017年 佐賀大学医学部 卒業
2017年 都立松沢病院 勤務
2019年 都立多摩総合医療センター 勤務
2020年 FIRE CLINIC新宿院 開院
2021年 渋谷院、銀座院開院
2023年 新宿、渋谷、銀座、名古屋の4院に展開しFIRE CLINIC総院長を務める。
2024年 公益財団法人ルイ・パストゥール医学研究センター 再生医療研究室 特任研究員

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