エステでよく聞くキャビテーションとは?効果や原理を医師がわかりやすく解説!

キャビテーション

・キャビテーションって本当に痩せる?
・エステでも受けられるのに効果はあるの?
・でもリバウンドするって聞いて心配
・どうすれば効果的にキャビテーションを受けられるのかなあ?

このような悩みを解決する記事を用意しました!

結論、キャビテーションは脂肪を破壊する施術ではなく、痩せる効果は一時的なものに過ぎません。

とはいえ、キャビテーションの効果を高める方法も記事の後半で紹介します。

この記事を最後まで読むと、「キャビテーションの原理」や「キャビテーションの効果」について十分に理解し、どんな施術を受けるかを自分で決められるようになります。

youtubeでも解説しておりますのでぜひご覧ください!

キャビテーションとは?

キャビテーションとは

キャビテーションの本来の意味とは、液体に急激な圧力の差を与えることで、液体が気体に変わり、小さな気泡ができたり消えたりする現象のことを言います。

別名「空洞現象」とも呼ばれます。

この現象は、船のスクリューやポンプ内などでも見られ、気泡が破裂する際に発生する衝撃波は、鉄をも侵食するパワーがあります。

エステで使われるキャビテーションは、この原理を痩身に応用したものです。

超音波によって皮下脂肪のまわりに気泡を生じさせ、脂肪細胞の膜に微細なダメージを与えることで、脂肪が排出されやすい状態を作ります。

脂肪細胞そのものを破壊していると説明されることもありますが、実際には細胞膜が一時的にゆるむことで、中の脂肪滴が外に流れ出ていく仕組みです。

キャビテーションの原理

では実際に、キャビテーションを行うと体の中ではどのような変化があるのでしょうか。

イタリアのフィレンツェ大学で行われた研究で、手術で切除された人の皮膚組織にキャビテーションを行い顕微鏡で変化を観察したという研究が行われました。

キャビテーションを行ったものと行っていないものを比較したところ、まず明らかになったのが脂肪細胞の縮小です。キャビテーションを行った皮下組織では脂肪細胞が小さくなっていました。

左がキャビテーションを行う前、右がキャビテーションを行なった後
下のグラフは細胞の大きさの変化を表している
引用:Histological and Ultrastructural Effects of Ultrasound-induced Cavitation on Human Skin Adipose Tissue

以下の図はキャビテーションの後に、脂肪細胞の細胞膜にどのような変化が起きているかを観察したものです。

引用:Histological and Ultrastructural Effects of Ultrasound-induced Cavitation on Human Skin Adipose Tissue

黒い帯状のもの(Cy)が脂肪細胞の細胞質なのですが、黒い三角で示したところに細かな小胞が集まっている変化を認めます。

ここは細胞膜が弱くなっているところです。

下の図はその細胞膜が弱くなった部位から脂肪滴が放出されているところです。


引用:Histological and Ultrastructural Effects of Ultrasound-induced Cavitation on Human Skin Adipose Tissue

ラジオ波やハイパーナイフとの違い

キャビテーション ラジオ波 ハイパーナイフ
アプローチ方法 超音波で脂肪細胞膜に
微細な振動を与える
高周波で脂肪層や
筋肉を温める
高周波+マッサージ
による温熱&刺激
アプローチ層 脂肪細胞 皮膚深部〜脂肪層 皮膚深部〜脂肪層
筋膜
得意な悩み 固くなった脂肪/セルライト 血流・リンパの滞り/冷え性/むくみ むくみ+脂肪太り/筋肉疲労/肩こり・腰痛
効果の即効性 1回で見た目の変化を感じる人も 継続によって体質改善
見た目の変化も少しずつ出る
即効性が高くイベント前にも◎
おすすめの部位 お腹・太もも・二の腕など脂肪が多い部位 下半身・ふくらはぎ・顔など冷えやすい部位 顔・お腹・太ももなど広範囲に対応しやすい
メリット
  • ピンポイントで脂肪にアプローチできる
  • 痛みなし
  • 体の内側から代謝を整える
  • 冷えや疲れにも◎
  • むくみも脂肪も同時にケアできる
デメリット
  • 脂肪細胞は減らないのでリバウンドの可能性がある
  • 単体では脂肪燃焼効果は弱く、継続が必要
  • 熱感が苦手な人には刺激が強い
  • 料金が高めの場合もある
向いている人
  • 部分痩せしたい
  • 脂肪の厚みをどうにかしたい
  • むくみや冷えが気になる
  • 代謝を上げたい
  • 早くサイズダウンしたい
  • 凝りやハリも感じる

キャビテーションは「脂肪細胞の膜にアプローチする施術」ですが、ラジオ波(RF)やハイパーナイフは「皮膚の深部を温めて代謝を促す施術」に分類されます。

どちらも痩身エステでよく使われるマシンですが、アプローチ方法も効果の出方も異なります。どれが優れているというよりも、目的や体質に応じて使い分けるイメージです。

たとえば「脂肪の厚みをなんとかしたい」という場合はキャビテーション、「冷えやむくみが気になる」ならラジオ波やハイパーナイフが向いています。

キャビテーションに期待できる効果

キャビテーションには、特定部位の脂肪を一時的に減らす「部分痩せ効果」が期待できます。

実際に、キャビテーションと食事制限を併用した研究では、ウエストが7.3cm皮下脂肪の厚みが5.85cm減少したという結果が報告されています(8週間のうち4回施術)。

引用文献より数値を抜粋して作成 単位は全てcm 開始前、開始後の値は全て中央値
引用:Ultrasound cavitation versus cryolipolysis for non-invasive body contouring

ただし、体重に有意な差は見られませんでした。

派手な結果に見えますが、開始前の体重が大きいのでその影響だと思われます

食事ダイエットと併用した結果ではありますが、キャビテーションの効果は科学的にも証明されているようですね。

キャビテーションはリバウンドする?

脂肪細胞がキャビテーションによって傷つき、中の脂肪滴が外に放出されていることは分かりました。

FIRE院長
FIRE院長

実はコレ、脂肪を破壊したわけではないんです。

脂肪細胞が完全に死なない限り脂肪細胞は再度脂肪を蓄えてリバウンドしてしまいます

こちらはキャビテーション前後の脂肪細胞を観察した写真です

左がキャビテーションを行う前、右がキャビテーションを行なった後
引用:Histological and Ultrastructural Effects of Ultrasound-induced Cavitation on Human Skin Adipose Tissue

矢印が死んだ細胞の核を示しています。

体内では細胞の新陳代謝が行われ、細胞が常に入れ替わっており、キャビテーションの有無にかかわらず、古くなった脂肪細胞は死んでしまいます。

死んだ細胞の数を確認したところ、キャビテーションの前後で明らかな数の差は認められませんでした。

つまり、「キャビテーションによって脂肪細胞が破壊されるわけではない」ということを示しています。脂肪細胞が死なない限り、再び脂肪を蓄えて大きくなり元に戻ってしまいまうため、リバウンドが起こります。

そもそも脂肪は、脂肪細胞の中ではトリグリセリドという形で貯蔵されています。

トリグリセリドは脂肪酸とグリセロールに分解され、それぞれ解糖系(エネルギーを生み出す回路)に組み込まれてエネルギーとして消費されます。

一方、エネルギーとして代謝されなかったものは、再び脂肪細胞に戻って蓄えられます。

このメカニズムは、人間が安定して食料を確保することが難しかった時代になるべくエネルギーを貯め込むことができるように備わった性質なんです。

キャビテーションの効果を高める方法

3つの方法
  1. 施術後のマッサージ
  2. 生活習慣の改善
  3. 水分をしっかり摂る

キャビテーションは一時的に脂肪が排出されやすい状態をつくる施術です。適切なアフターケアを行うことで、痩身効果をより高めることができます。

1:術後のマッサージ

超音波でゆるんだ脂肪は、リンパの流れに乗って排出されます。マッサージで流れをサポートすることで、むくみの改善やサイズダウンにつながりやすくなります。

逆に、放っておくと流れきれなかった脂肪が体内に再吸収されてしまうこともあるため、施術後は流す意識が重要です。

参考文献:Early and Long-Term Effects of Abdominal Fat Reduction Using Ultrasound and Radiofrequency Treatments

2:生活習慣の改善

施術直後は、脂肪細胞が一時的に吸収力の高い状態になります。このときに高カロリーな食事をとると、脂肪が元に戻るリスクが高まります。

糖質・脂質を控えめにして、タンパク質やビタミンをしっかり摂ることで代謝もサポートできます。

とくに施術当日の食事は、普段以上に慎重に選ぶのがおすすめです。

参考文献:Early and Long-Term Effects of Abdominal Fat Reduction Using Ultrasound and Radiofrequency Treatments

3:水分をしっかり摂る

キャビテーション後は、老廃物や脂質の代謝産物が体内に増えるため、水分をしっかり摂ることで排出がスムーズになります

意識して水を飲むだけでも、体の巡りがよくなり、すっきり感や軽さを感じやすくなるはずです。

キャビテーションが向いている人は?

キャビテーションが向いている人
  • 部分的にすっきりさせたい脂肪がある
  • 運動しても落ちにくいセルライトが気になっている
  • できるだけ痛みやダウンタイムの少ない方法でケアしたい
  • イベント前にスッキリ見せたい
  • 食事や運動も意識していて、痩せやすい状態を作れている

上記に当てはまる方は、キャビテーションの効果を感じやすい傾向があります。

キャビテーションは、脂肪細胞そのものを壊すわけではなく、一時的に脂肪が排出されやすい状態を作る施術です。

そのため「運動しても落ちない脂肪をどうにかしたい人」「冷えやすくてむくみが気になる人」に向いています。

一方、リバウンドが心配な人には、脂肪冷却や脂肪溶解注射など、脂肪細胞の数自体を減らせる施術がおすすめです。

キャビテーションに関するQ&A

Q&A
  1. キャビテーション後の過ごし方は?
  2. キャビテーションの効果はいつから?
  3. キャビテーションはセルライトに効く?
  4. キャビテーションは連続で受けても良い?
  5. サノレックス飲んだあとに運転しても大丈夫?

キャビテーションを受ける前に気になる疑問をまとめました。

1:キャビテーション後の過ごし方は?

施術直後2〜3時間は、脂肪細胞が一時的に吸収しやすくなっているため、糖質や脂質の多い食事・アルコールの摂取は控えましょう。

その代わり、水分をしっかり摂り、タンパク質やビタミンを中心にした食事を意識すると代謝がスムーズに進みます。

また、軽い運動や入浴で血流を促すのもおすすめです。

2:キャビテーションの効果はいつから?

施術後すぐにスッキリ感を感じる人もいますが、見た目の変化は2〜3回目以降から現れやすいとされています。とくにウエストや太ももなど脂肪の厚い部位やむくみがちな部位では、1回でも「なんとなく引き締まった」と感じる人もいます。

ただし、脂肪細胞の数は変わらないため、継続して受ける or アフターケアをしっかり行うことが重要です。

3:キャビテーションはセルライトに効く?

キャビテーションはセルライトのケアにも効果がある施術です。

セルライトは老廃物や水分が絡まり合ってできた「固まった脂肪」で、通常の運動や食事制限では落としにくいのが特徴です。

キャビテーションの超音波がセルライトに刺激を与え、脂肪を柔らかくして流しやすい状態に整えてくれます。

参考文献:Histological and Ultrastructural Effects of Ultrasound-induced Cavitation on Human Skin Adipose Tissue Tiziana S. Lotti, Francesca Campolmi, Silvia Rossi, et al.
Journal of Cosmetic and Laser Therapy, 2013.

4:キャビテーションを受ける頻度は?

週1回のペースが理想的です。体内の老廃物や脂肪滴が排出されるまでに数日かかるため、あまり短期間で詰め込むより、適度な間隔で継続したほうが効果が出やすくなります。

また、2〜3ヶ月続けることで、むくみや冷えなど体質面の変化も感じやすくなるでしょう。

5:キャビテーションは連続で受けても良い?

連日施術することはおすすめできませんし、毎日受ける必要もありません

体が排出を終える前に次の刺激を与えると、逆に老廃物が滞りやすくなることもあります。

目安としては週1回、多くても週2回程度にとどめ、間の日は水分補給や軽い運動で“流す”意識を持つのが効果的です。

まとめ|リバウンドを避けるなら脂肪細胞自体を破壊する施術がおすすめ


キャビテーションは「ウエストを減少させる効果」は認められていますが、その効果は一時的なもののとなります。

施術後にリバウンドさせず、ダイエット効果を持続させるにはきちんとしたカロリー管理が必要です。

継続してカロリー管理をするのが難しいという場合は、脂肪細胞を破壊する根本的な施術、もしくはお薬の力を借りる医療ダイエットが効果的です。

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ファイヤークリニック

PROFILE

江越 正敏
江越 正敏FIRE CLINIC総院長
2017年 佐賀大学医学部 卒業
2017年 都立松沢病院 勤務
2019年 都立多摩総合医療センター 勤務
2020年 FIRE CLINIC新宿院 開院
2021年 渋谷院、銀座院開院
2023年 新宿、渋谷、銀座、名古屋の4院に展開しFIRE CLINIC総院長を務める。
2024年 公益財団法人ルイ・パストゥール医学研究センター 再生医療研究室 特任研究員

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