【きつい運動はするな!】効率よく脂肪を燃焼させる運動方法を医師がエビデンスに基づいて解説
こんにちは、FIRE院長です!
ダイエットのために運動をしようとした経験のある方も多いと思います。
でも闇雲に腹筋やYouTubeにある足痩せ動画などをやってみて、きついし楽しくないのに効果は今ひとつでなかなか続かない人が多いのではないでしょうか?
今回は脂肪を燃焼させるために最も効率の良い運動の仕方を、エビデンスに基づいてご紹介いたします。
Contents
脂肪燃焼=脂肪酸化

脂肪を燃焼させるとはすなわちどういうことなのかというと、脂肪酸化のことを指します。
脂肪酸化とは体に蓄えられている脂肪を酸化させることにより生体活動に必要なエネルギーに変換することです。
つまり脂肪を燃焼させるとは脂肪をエネルギーに変えて消費することで体脂肪を減らすことになります。
そのためこの脂肪酸化を最大化させる運動が最も効率よく脂肪を燃焼させる運動ということになります。
最大酸素摂取量(VO2max)
効率の良い運動を理解するために必要な知識として最大酸素摂取量(VO2max)というものがあります。
VO2maxとは人が体内に取り込むことができる酸素量の最大値を表します。
ここでいう体内とは肺に吸い込んだ酸素の量ではなく、肺から血液や筋肉、内臓などに取り込まれた酸素の量を表します。
運動による脂肪酸化を最大化させるには
日々の運動習慣
Scharhag-Rosenbergerらによると、日頃運動をしていない被験者を対象として、日々の運動習慣によって脂肪代謝が上昇するかどうかを検証した結果、最大脂肪酸化率(MFO)は、12 か月のトレーニングで増加しました。(トレーニング前 0.26± 0.10、トレーニング後 0.33± 0.12 g/min)
Scharhag-Rosenberger, F., Meyer, T., Walitzek, S., & Kindermann, W. (2010). Effects of one year aerobic endurance training on resting metabolic rate and exercise fat oxidation in previously untrained men and women. International journal of sports medicine, 31(07), 498-504.
つまり、運動を1年間続けることによって脂肪代謝の最大値が1.26倍に増加するということがわかりました。
継続は力なりということですね。
また別の研究では、運動習慣のある被験者は運動していない被験者と比較して、同じ時間枠で筋肉の糖質の取り込みの減少が見られました。
これは、運動習慣のある被験者が、長時間の運動中に脂肪酸代謝を維持し、高強度の運動での糖質の使用を回避できたことを示唆しています。運動の強度が上がると体は脂肪からエネルギーを得るのではなく糖質からエネルギーを得るようになりますが、運動習慣のある人は運動の強度を上げても脂質からエネルギーを得る能力が高いということを表しています。

赤が脂肪、青が糖質。運動強度が上がる(グラフの右にいく)につれて糖質からエネルギーを得るようになることを表している
適切な運動強度
脂肪酸代謝を最大化させる運動強度はVO2maxの45〜65%程度の運動ということがわかっています。
これはどれくらいのきつさの運動に相当するかというと、とてもゆっくり〜ゆっくりなランニングに相当します。息切れをするかしないか程度の運動で良いです。
運動強度が 65% VO2max未満の場合では、体はエネルギーを主に脂肪酸化によって得ています。運動強度が65% VO2maxを超えると脂肪酸化が低下し始め、糖質からエネルギーを得るようになっていきます。
きつい運動は脂肪よりも糖質を消費してしまうので効率が悪くなってしまいます。
運動直前の糖質摂取は脂肪酸化を低下させる
筋トレを行うときはエネルギー不足を避けるために直前の糖分摂取が推奨されている場合が多いと思いますが、脂肪酸化を最大化させるには直前の糖質摂取は控えた方が良いです。
運動開始前に炭水化物を摂取した場合、最大脂肪酸化率は 0.46±0.06 から 0.33±0.06 g/minと脂肪の酸化の最大速度が28%減少しました。
Achten, J., & Jeukendrup, A. E. (2003). The effect of pre-exercise carbohydrate feedings on the intensity that elicits maximal fat oxidation. Journal of Sports Science, 21(12), 1017-1025.
しかしエネルギー摂取せずに運動を行うと筋肉も破壊されてしまうため、それを防ぐために運動前にBCAA(分岐鎖アミノ酸)を摂取することをおすすめします。
適切な運動時間
運動の開始においては筋肉は内因性の燃料源 (IMTG(筋肉に蓄えられているトリグリセリド)とグリコーゲン) に大きく依存していますが、運動時間が 90 分を超えると IMTG 濃度の低下が起こることが示されています。
Watt M, Heigenhauser G, Dyck D, Spriet LL. Intramuscular triacylglycerol,glycogen, and acetyl group metabolism during 4 h of moderate exercise inman. J Physiol. 2002;541(3):969–7
トレーニングを受けていない被験者がで3時間の運動を行ったとき、運動の2時間目から3時間目で血清グルコース濃度が66%増加しました。
Turcotte L, Richeter E, Kiens B. Increased plasma FFA uptake and oxidationduring prolonged exericse in trained vs. untrained humans. Am J PhysiolEndocrinol Metab. 1992;25:791–9.
つまり90分以上で筋肉内の脂質が減少しはじめ、120分を超えるとエネルギーを糖質から得ようとするため90分以上、120分未満の運動が最も効率よく脂肪を燃やすことができると考えられます。
筋トレで代謝は上がるか
筋トレをして筋肉を増やすことで代謝が上がると考えている方は多いと思います。では筋トレをすることでどれくらい代謝が上がるのでしょうか?
筋肉の1kgあたりのエネルギー消費量は13kcalです。
ちなみに肝臓や脳は1kgあたりのエネルギー消費量としてそれぞれ201kcal、239kcalと桁違いのエネルギーを消費しています。
つまり筋トレで筋肉を増やして代謝をあげることはとても非効率なことがわかります。
実際に筋トレのみ、持久運動のみ、筋トレ+持久運動を比較した研究では筋トレ+持久運動が最も脂肪を減らすことができたという結果が得られています。
Wilson, J. M., Marin, P. J., Rhea, M. R., Wilson, S. M., Loenneke, J. P., & Anderson, J. C. (2012). Concurrent training: a meta-analysis examining interference of aerobic and resistance exercises. The Journal of Strength & Conditioning Research, 26(8), 2293-2307.
脂肪の燃焼における筋トレの役割は、筋肉の増加により代謝が上げるためではなく、筋肉を刺激することによって脂肪の輸送タンパク(CD36)が増えるから代謝が上がるのではないかと考えられています。
まとめ
以上より、私が考える脂肪を最も効率よく減らす運動方法は、運動前には糖質を摂取せずに、筋トレと早歩き〜ゆっくりなランニングを組み合わせた運動を90分〜120分行うというもので、さらにそれを継続する必要があります。
継続は大変だと思いますが、効率の良い方法と分かれば頑張れそうですよね。
ダイエットを続けるコツ]
有酸素運動をする時、まずは歩く距離を少しずつ増やしていく。
毎日コツコツと増やしていきましょう。
そうすると運動が日常化して痩せやすくなります。 pic.twitter.com/9JyRBReGxu
— 【超肉体改革】ダイエットプロジェクト (@BSCPfnVidw45nDI) January 3, 2023
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