内臓脂肪とは?皮下脂肪・体脂肪との違いや減らし方を解説!

「最近、お腹まわりが気になるようになった」

「昔と同じ体重なのに、スーツがきつく感じる」

実はそれ、内臓脂肪の増加が関係しているかもしれません

体重や見た目だけでは気づきにくい内臓脂肪は、放っておくと生活習慣病のリスクを高める原因になります。

この記事では、医師の視点から、内臓脂肪とは何か?皮下脂肪や体脂肪との違いは?どうすれば効率よく減らせるのか?を誰にでもわかりやすく、具体的に解説していきます。

内臓脂肪とは?皮下脂肪や体脂肪との違い

内臓脂肪とは?皮下脂肪や体脂肪との違い

内臓脂肪とは、主に胃腸の周りの脂肪を指します。高血圧、糖尿病などの生活習慣病を引き起こすのが、この内臓脂肪です。脂肪には皮下脂肪と内臓脂肪の2種類があります。皮下脂肪は皮膚の下のつまめる脂肪で、内臓脂肪はお腹の中(胃や腸の周り)にある脂肪です。

そして「皮下脂肪」と「内臓脂肪」を含んだ体全体にある脂肪の総称を「体脂肪」と言います。体脂肪率として測定されるのはこの全体量を指します。

そもそも内臓脂肪がなぜ良くないのかというと、内臓脂肪が増えると血管が詰まりやすくなり、脳梗塞や心筋梗塞、糖尿病などの生活習慣病リスクが一気に高まるためです。

実際に、内臓脂肪が一定以上増えると心筋梗塞や脳梗塞のリスクが約2倍に、さらに高血圧・糖尿病・脂質異常症などが重なると、そのリスクは36倍にまで跳ね上がるという研究結果もあります。

参照:Iso, H., Sato, S., Kitamura, A., Imano, H., Kiyama, M., Yamagishi, K., … & Shimamoto, T. (2007). Metabolic syndrome and the risk of ischemic heart disease and stroke among Japanese men and women. Stroke, 38(6), 1744-1751.
Nakamura T, et al. Magnitude of sustained multiple risk factors for ischemic heart disease in Japanese employees: a case-control study. Circ J 2001; 65: 11-17.

内臓脂肪が増えるととにかく病気のリスクが上がる」と覚えて頂いておけば問題ないです。ダイエットを考えている人はぜひ内臓脂肪にも注目してはじめましょう。

内臓脂肪が増える3つの原因

内臓脂肪が増える原因
  1. 遺伝的な体質:太りやすさは生まれつき?
  2. ストレス:心の負担が体に出る
  3. 食生活の乱れ:糖質・脂質・アルコールの取りすぎ

内臓脂肪が増える原因はさまざまな要因がありますが、なかでも顕著に出やすいのが、遺伝生活のストレス食事です。

1:遺伝的な体質:太りやすさは生まれつき?

家族にぽっこりお腹が多い場合は、遺伝的な要因が関係しているかもしれません。

とくにADRB3という遺伝子に変異があると、代謝が落ち、内臓脂肪がつきやすくなります。

このタイプは、胃腸の周りに脂肪がつくため、「りんご型体型」になりやすく、食事改善や運動をしても内臓脂肪が減りにくい傾向が見られます。努力だけでコントロールが難しいケースもあるため、体質を踏まえた対策が必要です。

実際に、日本人女性を対象とした研究では、ADRB3の遺伝子に変異がある方だと、食事療法や運動療法を行っても内臓脂肪が減少しづらいと結果が出ています。

FIRE院長
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生まれつきの遺伝子で内臓脂肪のつきやすさが変わるのは驚きですね。

引用:Takeuchi, S., Katoh, T., Yamauchi, T., & Kuroda, Y. (2012). ADRB3 polymorphism associated with BMI gain in Japanese men. Experimental diabetes research, 2012.

Kurokawa, N. (2011). Association of BMI with the beta3 adrenergic receptor gene mutation: a meta-analysis. Nihon eiseigaku zasshi. Japanese journal of hygiene, 66(1), 42-46.

2:ストレス:心の負担が体に出る

満員電車、長時間労働、人間関係のトラブルなど、性的なストレスにさらされると、体内で「コルチゾール」というホルモンが多く分泌されます。

コルチゾールは血糖値を上げて体を守ろうとしますが、過剰に分泌されるとエネルギーが脂肪として蓄積されやすくなり、とくに内臓まわりに脂肪が集中しやすくなります

ストレスによって睡眠の質が下がったり、つい間食が増えたりと、生活習慣が徐々に乱れていくことも少なくありません。

「運動する気力がなくなる」「夜更かしが続く」「甘いものをつい手に取ってしまう」そんな日々の積み重ねが、じわじわと内臓脂肪の増加を招く原因になります。

3:食生活の乱れ:糖質・脂質・アルコールの取りすぎ

高カロリーな食事や間食、夜遅い時間の食事、そして習慣的な飲酒は、どれも内臓脂肪をためこむ大きな要因になります。

とくに白米や菓子パン、清涼飲料水などに多く含まれる精製された糖質には要注意。血糖値を急激に上昇させ、インスリンを大量に分泌させることで脂肪の蓄積を招きます。

またアルコールは、それ自体が高カロリーなうえ、肝臓にかかる負担が代謝機能を低下させるため、脂肪が燃えにくくなる原因に。毎晩ビール1本(約200kcal)を飲むだけでも、1か月で6,000kcal以上の余分なエネルギーを摂取していることになります。

さらに、飲酒によって食欲が刺激され、揚げ物やラーメンといった脂質の多い食事をとる頻度が高まることも。こうした食習慣が日常化すれば、内臓脂肪は徐々に増えていきます。

内臓脂肪が多いとどうなる?

内臓脂肪は、単なるエネルギーの貯蔵庫ではありません。「アディポサイトカイン」と呼ばれるホルモンを分泌し、代謝や免疫など全身のバランスに関わる活発な組織でもあります。

脂肪細胞が小さいうちは良いエキスを出しますが、肥大化すると「PAI-1」という血管を詰まりやすくするエキスや、「TNF-α」という周りの細胞を傷付ける悪いエキスが放出されます。

つまり、内臓脂肪が悪いと脂肪の性格が変わり、体に悪影響を及ぼすのです。かつては健康を支えていたはずの脂肪細胞が、やがて病気の引き金になる存在へと変わってしまいます。

FIRE院長
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とても不思議ですね。脂肪細胞は別に悪いやつではないですが、大型になって太ると性格が悪くなるんです。私も太っている時は、怒りっぽくなったり、計画が立てられなくなったり性格が悪かったですが、痩せると変わりました。脂肪細胞も一緒ですね。

内臓脂肪を最速で落とす3つの方法

内臓脂肪を落とす方法
  1. 食事改善:低糖質・高タンパクを意識
  2. 運動習慣:筋トレ+有酸素運動で代謝アップ
  3. 医療的アプローチ:薬や漢方の力も選択肢に

内臓脂肪を減らすには、日々の生活習慣を変えていく必要があります。

また、体重を減らしていけば自然に内臓脂肪も減少していきます。皮下脂肪だけ、内臓脂肪だけと落とす脂肪を選ぶことは脂肪吸引以外では不可能です。

FIRE院長
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ちなみに余談ですが、大量に脂肪吸引すると皮下脂肪は減りますが、むしろ内臓脂肪は増えやすい傾向にあります。

ではここからは、内臓脂肪を落とす方法を解説していきます。

1:食事改善:低糖質・高タンパクを意識

糖質の摂取を控えめにし、肉・魚・卵・大豆製品などのたんぱく質を意識的に取り入れることで、筋肉の維持と代謝の向上が期待できます。

たとえば朝食には、玄米ごはんに納豆とゆで卵、具だくさんの味噌汁を添えるとバランスが取れます。昼は鶏むね肉とブロッコリーのサラダ、間食には無塩のナッツやゆで卵を。夜は豆腐や焼き魚を中心にし、白米を控えめにするのがポイントです。

また、アルコールを完全にやめる必要はありませんが、週に2回は飲まない日を設ける「休肝日」を意識しましょう。飲む日はビール1本まで、もしくは糖質オフのハイボールなどを選ぶと内臓への負担を軽減できます。こうした工夫を少しずつ生活に取り入れるだけでも、内臓脂肪の蓄積を防ぎやすくなります。

2:運動習慣:筋トレ+有酸素運動で代謝アップ

運動は「筋トレ→有酸素運動」の順で行うのが効率的です。

たとえば、スクワット15回×2セット、腕立て伏せ10回×2セットを行ったあと、30分ほどウォーキングや軽いジョギングをすると脂肪が燃えやすくなります。

時間が取れない日は、仕事や日々の生活の合間に1セットだけ行うだけでもOK。回数は多いに越したことはないですが、それよりも大事なのは「継続」です。週に1、2回でも良いので、無理なく続けられる量から始めてください。

昼休みに近所を10分歩く、歯磨き中にかかと上げをするなど、生活に組み込みやすい形で取り入れると継続しやすくなります。

3:医療的アプローチ:薬や漢方の力も選択肢に

食事を改善したり、運動習慣を身に着けてみたりしてもなかなか結果が出ない場合は、「医療ダイエット」の選択肢もあります。医療ダイエットとは、医師のサポートのもとで行う、医学的根拠を用いたダイエット法です。

内臓脂肪を減らすためには、体重を落とすのが必要不可欠

たとえば医療ダイエットで使用するGLP-1受容体作動薬は、食欲を抑えながら胃の動きをゆるやかにし、血糖を安定させることで、脂肪の蓄積を防ぎつつ体重を減らす効果が期待できます。

また、漢方薬の防風通聖散は、便通の改善や代謝促進作用が期待される処方で、脂肪がつきやすい体質の改善にも役立ちます。

内臓脂肪に関するよくある質問

よくある質問
  1. 内臓脂肪はどうやって測る?
  2. 内臓脂肪の正常値はいくつ?
  3. 内臓脂肪がつきやすい人の特徴は?

ここでは、内臓脂肪について患者様からよくいただく疑問にお答えします。ご自身の体に当てはまる項目があれば、ぜひ参考にしてみてください。疑問を解消することで、次の一歩を踏み出しやすくなります。

Q1:内臓脂肪はどうやって測る?

病院ではCTやMRIで正確に測定できますが、家庭では体組成計で目安を確認できます。内臓脂肪レベルが10を超えると注意が必要です。

Q2:内臓脂肪の正常値はいくつ?

CT測定での内臓脂肪面積は、男性で100cm²未満女性で80cm²未満が正常範囲とされています。

一方、家庭用の体組成計では「内臓脂肪レベル」として表示されることが多く、目安として10以下が正常、11〜14がやや高め、15以上は注意が必要です。

また、メタボリックシンドロームの診断基準では、腹囲が男性85cm以上・女性90cm以上かつ、血圧・血糖・中性脂肪・HDLコレステロールのいずれか2項目に異常があることが要件となります。

参照:厚生労働省「メタボリックシンドロームの診断基準」/四日市羽津医療センター 健康管理センター「腹部CT内臓脂肪測定 」

Q3:内臓脂肪がつきやすい人の特徴は?

内臓脂肪がつきやすいのは、以下のような特徴を持つ人です。

  • 年齢とともに代謝が落ちてきた方
  • 日常的にあまり運動をしていない方
  • 糖質中心や脂っこい食事が多い方
  • ストレスが多く睡眠の質が悪い方

筋肉量が減ると代謝が下がり、消費されなかったエネルギーが脂肪として蓄積されやすくなります。とくに男性は内臓脂肪がつきやすいため、早めの対策が重要です。

内臓脂肪がなかなか落ちない方はファイヤークリニックへ

内臓脂肪は目に見えないからこそ放置しがちですが、生活習慣病や動脈硬化のリスクと深く関わっています。食事や運動を見直しつつ、必要に応じて医療の力を借りることで、内臓脂肪対策は着実に進められます。

ファイヤークリニックの医療ダイエットでは、治療前に遺伝子検査体組成の分析を行い、その結果に基づいて20種類以上の治療法の中から、最適な方法をオーダーメイドでご提案しています。

「何とかしなきゃ」と思いながら、何もできずに時間だけが過ぎている方は、ぜひ一度無料カウンセリングにいらしてください。

ファイヤークリニック

PROFILE

江越 正敏
江越 正敏FIRE CLINIC総院長
2017年 佐賀大学医学部 卒業
2017年 都立松沢病院 勤務
2019年 都立多摩総合医療センター 勤務
2020年 FIRE CLINIC新宿院 開院
2021年 渋谷院、銀座院開院
2023年 新宿、渋谷、銀座、名古屋の4院に展開しFIRE CLINIC総院長を務める。
2024年 公益財団法人ルイ・パストゥール医学研究センター 再生医療研究室 特任研究員

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