FIRE CLINIC(ファイヤークリニック)

脂肪溶解注射に使用されるデオリポ(デオキシコール酸)の効果

はじめに

近年、美容医療は、機器の技術や薬剤の進歩により人気が高まっています。医学界の研究者は何十年もの間、食事や運動をせずに、そして手術をせずに、身体についた余分な脂肪を減らす方法の開発を続けてきました。そして最近、ダイエット治療薬として、脂肪溶解注射である「デオリポ(Deolipo)」が注目されています。今回は、デオリポ(デオキシリコール酸)についてご紹介します。

1. デオリポ(デオキシコール酸)とは

デオリポは、有効成分であるデオキシリコール酸(Deoxycholic Acid )を高配合した、脂肪溶解注射です。頬や二の腕、お腹などの痩せたい部分にデオリポを注入することで、脂肪細胞の分解を促進します*1。その後、余分な脂肪細胞を体外に排出することで、脂肪減少効果をもたらします。

超音波や高周波を使用した脂肪減少法など、新しい治療法の人気が急上昇しているなか、2017年に行われた「手術を伴わない施術」のなかで、現在3番目に多い施術となっており、米国美容整形外科学会の最新データによると、使用率は過去1年間で24.7%、過去5年間で217.3%という驚異的な伸びを示しています2。メスを使用せず、注射一本で簡単にできるため「メソセラピー」としてもよばれる、注目の痩身治療です*3

デオリポ(デオキシコール酸)は,2000年代初頭、「Lipodissolve(脂肪溶解)」薬剤として,余分な脂肪の特定の部位を治療するために使用されました*4。デオリポ注射による脂肪分解は,表層脂肪組織に細胞溶解剤を注射することで,顎下の皮下脂肪を治療する治療法として、 「顎下脂肪治療薬Kybella(デオキシコール酸)」が2015年に米国食品医薬品国(FDA)から承認されました*5

デオリポ(デオキシコール酸)を注射すると、細胞膜を破壊して細胞融解を引き起こしますが、他の組織の細胞膜よりも脂肪細胞膜への親和性が高いため、脂肪細胞に優先的に作用します6。その後、破壊された脂肪細胞が、静脈やリンパ管を通じで体外に排出します*7

デオキシリコール酸を注射した被験者は、デオキシコール酸を注射して3回もたたないうちに、顎下の脂肪が顕著に減少しました*8。現在、顎下脂肪、いわゆる二重顎などの改善を目的とした注射剤として、FDAに承認された薬剤のなかでは、最初で、唯一の治療薬になっています9

2. 有効成分デオキシコール酸の効果

デオキシリコール酸を高配合したデオリポですが、有効成分であるデオキシコール酸は、腸内細菌の代謝によって生成される二次胆汁酸であり、乳化作用によって腸内の脂質の消化を助けることが報告されています*10

デオリポ(デオキシリコール酸)注射は、脂肪溶解だけでなく、代謝促進作用や、血流・リンパ循環促進作用もあります。デオリポの代謝促進作用の有効成分としては、「L-カルニチン(L-b-hydroxy-c-N-trimethylaminobutyric acid)」が含まれています*11。L-カルニチンは、肝臓と腎臓で合成され、体内に吸収されたグルコース処理を促進します*12。L-カルニチンのはたらき(グルコース処理)によりエネルギー生産率が高まるため、結果的に体脂肪の減少につながります。また、視床下部のカルニチンパルミトイルトランスフェラーゼを阻害すると、食物摂取量が減少するという報告があり*13、肥満の治療にL-カルニチンの補給が有効であることが報告されています*14。さらに、L-カルニチンは、心血管疾患、末期腎疾患、透析関連高血圧、持続性うつ病の治療、非アルコール性脂肪肝の治療の予防に応用されています*15

L-カルニチンは体内でも作られていますが、加齢とともに減少するため、歳をとると痩せにくくなる因子の一つとして知られています。関連して、施術当日は、脂肪細胞の排出が高まるために、水分を多めに摂取することをおすすめします。

また、血流・リンパ循環促進作用の有効成分に「アーティチョークエキス(Cynara scolymus L.)」が含まれています16。アーティチョークは、地中海沿岸諸国で広く栽培されている植物で、天然の抗酸化物質を豊富に含んでいます。カフェオイルキナ酸誘導体(シナリン、クロロゲン酸)や、フラボノイド(ルテオリン、アピゲニン)を含んでおり17、アーティチョークの葉の抽出物は、肝保護、抗菌、コレステロール低下18の目的で使用されています。最近の研究では、アーティチョークエキスが、生物にとって有害物質である、活性酸素の生成を減少させ、抗酸化剤として非常に有効であることを示しており、その健康保護の可能性は、抗酸化力に起因していることが報告されています19。他にも、胆汁を増加させる効果、利尿効果、循環系の向上などが期待されています。アーティチョークエキスには、脂肪を血液中に誘導し、体内からの排泄を促進するはたらきがあります20

また、個人差はありますが、デオキシリコール酸は、注射後約3日でダイエット効果を発揮します。この3日間の効果を高めるためにも(L-カルニチン効果)、散歩などの有酸素運動が推奨されています21。腫れや痛みを少なくする成分も含まれているため、痛みや腫れを伴うダウンタイムは少なく、翌日から洗顔やお化粧が許可されています。

デオキシリコール酸には局所的な効果が報告されているため、小鼻や鼻柱など、痩せにくい部分の余分な脂肪を取り除くことができます*22。さらに、通常のダイエットだと、肥大化した脂肪細胞を、食事制限や運動により、サイズを小さくします。しかし、リバウンドなどで脂肪細胞の大きさが元に戻ってしまうのが大半です。一方で、デオキシリコール酸は、注射することによって脂肪細胞自体をなくすため、ダイエットの敵であるリバウンドのリスク抑制効果も期待されます。

3. デオリポ(デオキシコール酸)の治療方法

デオキシリコール酸の治療回数は、一週間の間隔をあけ、5〜8回の治療が望ましいです。注射の本数の目安は、頬、フェイスライン:1〜2本、顎下:3〜5本、二の腕(片側):2〜5本、腹部:8〜16本、ヒップ、太腿、ふくらはぎ(片側):5〜20本です。実際に、デオキシリコール酸の注入後、おおよそ2週間かけて脂肪細胞が体外へ放出されると報告されています23

また、デオリポ注射の施術時間は1回約30分で、施術当日は入浴を控えましょう。翌日から、代謝を高めるため、適度な運動と水分補給は行ってください。1回の治療での最大注入量は、顔8ml、身体16mlまで、別部位の治療は、3日間あけてから可能という目安がありますが、お医者さんの指示に従うことをおすすめします。

4. デオリポ(デオキシコール酸)の副作用

デオリポ(デオキシリコール酸)の副作用には、注射部位の浮腫、血腫、痛み、しびれ、赤み、硬結などが挙げられます*24。また、体重の変動により、皮下脂肪の分布が変化したり、皮膚の弾力性が変化したりすることがあります*25

また、デオリポ(デオキシリコール酸)による臨床試験では、一過性の下顎辺縁神経麻痺、嚥下(飲み込み)困難、皮膚潰瘍などの重篤な合併症が、それぞれ4.3%、1.9%、0.2%の割合で報告されています25。しかし、デオキシコール酸は、皮膚の弛緩、顎下腺の膨らみ、胃の膨らみなどの悩みを持つ患者にとって、効果的な治療法になっています。

デオキシリコール酸に対するアレルギーを起こしたことのある方、妊娠・授乳中の方は、基本的には施術を受けることはできません。稀に、デオリポ注射後、内出血が出る場合がありますが、約1週間程度で治まります。過去の注射・点滴で問題がなかった方でも、体調や状況によっては何らかの副反応が出る可能性はあるため、注射や点滴を行う際は、医師に確認のもと施術することをおすすめします。

さいごに

デオリポ(デオキシリコール酸)は、注射するだけで、脂肪細胞を溶解し、効果的に痩身効果があることがわかりました。また、痩せている人や、若者に対しても、低用量のデオキシコール酸を投与することで、きちんと効果が得られることが示されています。

脂肪溶解注射は、気になる部位だけにピンポイントで施術できること、施術以降も脂肪細胞を小さくするため太りにくい体質になること、などメリットがあります。しかし、広範囲への施術は向いておらず、皮下脂肪のみへのアプローチで、内臓脂肪には効果がないというデメリットも理解しておきましょう。身体全体的に痩せるためには、やはり食事の改善と運動に尽きますね。

ファイヤークリニックでもデオリポを取り扱っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

参考文献

*1Mahmud K, Crutchfield CE. Lipodissolve for body sculpting: safety, effectiveness, and patient satisfaction. J Clin Aesthet Dermatol. 2012;5(10):16-19.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3486781/

*2Cosmetic surgery national data bank statistics. Aesthet Surg J. 2018;38(suppl_3):1-24.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29846503/

*3Reeds DN, Mohammed BS, Klein S, Boswell CB, Young VL. Metabolic and structural effects of phosphatidylcholine and deoxycholate injections on subcutaneous fat: a randomized, controlled trial. Aesthet Surg J. 2013;33(3):400-408.

https://academic.oup.com/asj/article/33/3/400/2801373?login=true

*4Duncan DI. Lipodissolve for subcutaneous fat reduction and skin retraction. Aesthet Surg J. 2005;25(5):530-543.

https://academic.oup.com/asj/article/25/5/530/196438?login=true

*5Humphrey S, Dayan SH, Shridharani SM, Baumann L, Gallagher CJ. Personal and social impacts of submental fat in the US population. Paper presented at the Fall Clinical Dermatology Conference, Las Vegas, NV, October 20–23, 2016.

https://www.luxurgerynyc.com/wp-content/uploads/2017/10/Sachin-M-Shridharani-MD-Curriculum-Vitae.pdf

*6Shamban AT. Noninvasive submental fat compartment treatment. Plast Reconstr Surg Glob Open. 2016;4(Suppl 12):1155.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5172481/

*7Tissue-selective effects of injected deoxycholate.Thuangtong R, Bentow JJ, Knopp K, Mahmood NA, David NE, Kolodney MS Dermatol Surg. 2010 Jun; 36(6):899-908.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20482723/

*8Shridharani SM, Behr KL. ATX-101 (deoxycholic acid injection) treatment in men: insights from our clinical experience. Dermatol Surg. 2017;43(Suppl 2):225-230.

https://journals.lww.com/dermatologicsurgery/Abstract/2017/11002/ATX_101__Deoxycholic_Acid_Injection__Treatment_in.19.aspx

*9Patel S, Kridel R. Current trends in management of submental liposis: a pooled analysis and survey. JAMA Facial Plast Surg. 2018;20(3):202-206.

https://www.liebertpub.com/abs/doi/10.1001/jamafacial.2017.1567

*10Dover JS, Kenkel JM, Carruthers A, et al.  Management of patient experience with ATX-101 (deoxycholic acid injection) for reduction of submental fat. Dermatol Surg. 2016;42(Suppl 1):288-299.

https://journals.lww.com/dermatologicsurgery/FullText/2016/11001/Management_of_Patient_Experience_With_ATX_101.7.aspx

*11Pagotto U, Vanuzzo D, Vicennati V, Pasquali R. Pharmacological therapy of obesity. G Ita Cardiol 2008; 9: 83S–93S.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18773755/

*12Marović D. Elevated body mass index and fatty liver. Srp Arh Celok Lek 2008; 136: 122–25.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18720744/

*13di San Filippo CA, Taylor MR, Mestroni L, Botto LD, Longo N. Cardiomyopathy and carnitine deficiency. Mol Gen Metab 2008; 94: 162–66.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7338455/

*14Kim JH, Pan JH, Lee ES, Kim YJ. L‐carnitine enhances exercise endurance capacity by promoting muscle oxidative metabolism in mice. Biochem Biophys Res Commun 2015; 464: 568–73.

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0006291X15302394

*15Biophys Res Commun 2015; 464: 568–73.Wall BT, Stephens FB, Constantin‐Teodosiu D, Marimuthu K, Macdonald IA, Greenhaff PL. Chronic oral ingestion of L‐carnitine and carbohydrate increases muscle carnitine content and alters muscle fuel metabolism during exercise in humans. J Physiol 2011; 589: 963–73.

https://physoc.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1113/jphysiol.2010.201343

*16R. Llorach, J.C. Espin, F.A. Tomas-Barberan, F. Ferreres Artichoke (Cynara scolymus L.) byproducts as a potential source of health-promoting antioxidant phenolics J Agr Food Chem, 50 (2002), pp. 3458-3464

https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/jf0200570

*17J.F. Joy, S.L. Haber Clinical uses of artichoke leaf extract Am J Health Syst Ph, 64 (2007), pp. 1906-1909

https://academic.oup.com/ajhp/article-abstract/64/18/1904/5134966

*18A. Jimenez-Escrig, L.O. Dragsted, B. Daneshvar, R. Pulido, F. Saura-Calixto

In vitro antioxidant activities of edible artichoke (Cynara scolymus L.) and effect on biomarkers of antioxidants in rats J Agric Food Chem, 51 (2003), pp. 5540-5545

https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/jf030047e

*19G. Aktay, D. Deliorman, E. Ergun, F. Ergun, E. Yeşilada, C. Çevik Hepatoprotective effects of Turkish folk remedies on experimental liver injury J Ethnopharmacol, 73 (2000), pp. 121-129

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0378874100002865

*20Antioxidative and protective properties of extracts from leaves of the artichoke (Cynara scolymus L.) against hydroperoxide-induced oxidative stress in cultered rat hepatocytes

Toxicol Appl Pharmacol, 144 (1997), pp. 279-286

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0041008X97981308

*21E.P. Brass, A.M. Scarrow, L.J. Ruff, et al. Carnitine delays rat skeletal muscle fatigue in vitro

J. Appl. Physiol., 75 (1993), pp. 1595-1600

https://journals.physiology.org/doi/abs/10.1152/jappl.1993.75.4.1595

*22Richards BG, Schleicher WF, D’Souza GF, Isakov R, Zins JE. The role of injectables in aesthetic surgery: financial implications. Aesthet Surg J. 2017;37(9):1039-1043.

https://academic.oup.com/asj/article/37/9/1039/4086163?login=true

*23Klassen AF, Cano SJ, Scott A, Snell L, Pusic AL. Measuring patient-reported outcomes in facial aesthetic patients: development of the FACE-Q. Facial Plast Surg. 2010;26(4):303-309.

https://www.thieme-connect.com/products/ejournals/abstract/10.1055/s-0030-1262313

*24Pusic AL, Klassen AF, Scott AM, Cano SJ. Development and psychometric evaluation of the FACE-Q satisfaction with appearance scale. Clin Plast Surg. 2013;40(2):249-260.

https://www.plasticsurgery.theclinics.com/article/S0094-1298(12)00194-0/abstract

*25Dayan SH, Schlessinger J, Beer K, et al.  Efficacy and safety of ATX-101 by treatment session: pooled analysis of data from the phase 3 REFINE trials. Aesthet Surg J. 2018;38(9):998-1010.

https://academic.oup.com/asj/article/38/9/998/4833179?login=true

*26Kridel RWH, Conderman CP. Liposuction of the face and neck: the art of facial sculpture. In: Papel I, ed. Facial Plastic and Reconstructive Surgery. 4th ed. New York, NY: Thieme; 2016:202-221.

https://dl.uswr.ac.ir/handle/Hannan/86529?locale=en
にほんブログ村 美容ブログへ
にほんブログ村
LINEで簡単予約

LINEで簡単相談&ご予約

クリニックを選択してください