痩せないのは太りやすい体質のせい?肥満の遺伝子検査でわかる3タイプ

痩せないのは太りやすい体質のせい?肥満の遺伝子検査でわかる3タイプ

そんなに食べていないのに太るんだよねー

ダイエットしているのになかなか痩せない…

このように感じていらっしゃる方が多いのではないでしょうか?

肥満の原因の7割は食べ過ぎです。

ただし、残りの「3割は遺伝子が原因」とされています。

遺伝的に代謝の低い方や筋肉がつきづらい方では、エネルギー消費の効率が悪い「太りやすい体質」だといえるでしょう。

江越先生
江越先生

実は「太りやすい遺伝子」っていうのがあるんです!

このとき、「太りやすさ」をもたらす遺伝子を「肥満遺伝子」と呼びます。

この記事では、肥満遺伝子がどういったものなのか、わかりやすく解説します。

– この記事の監修者 –

江越正敏
ファイヤークリニック総院長

佐賀大学医学部を卒業後、病院・美容クリニックでの勤務経験を経て、2020年にファイヤークリニック開業。美容医学、遺伝子学、栄養学、精神医学など肥満治療に関わる多方面から痩身医学研究と実践をする。精神科医としても臨床に当たっており、西洋医学から東洋医学に渡って世界中から集積した独自の短期集中型医療ダイエット「ファイヤーメソッド」を開発。

ファイヤークリニック

太りやすい体質と肥満遺伝子の関係

太りやすい体質と肥満遺伝子の関係

肥満遺伝子と代謝の関係性

肥満遺伝子は、アドレナリン受容体や脱共役タンパク質といったエネルギー代謝に関わる遺伝子が変異したものであることが多いです。

これらの遺伝子に変異があると、エネルギー代謝が低くなったり、タンパク質をいっしょに代謝してしまうようになります。その結果、筋肉がつきづらく、痩せにくい身体になってしまいます。

つまり、肥満遺伝子のある人はない人に比べて、脂肪が燃えづらい体質である、といえます。

肥満遺伝子が生活習慣病に与える影響

肥満遺伝子があると太りやすくなるだけではなく、生活習慣病にかかるリスクが高まるとされています。

代謝が低くなった身体でそれまでと同じ食事を摂ると、代謝できなかった分のエネルギーが余ってしまいます。

そして、余ったエネルギーは脂肪細胞や肝臓、血管などに蓄積されていくのです。

その結果、脂質異常症や脂肪肝、糖尿病、高血圧などの生活習慣病を引き起こしやすくなってしまいます。

太りやすい体質に関係する3つの遺伝子タイプ

太りやすい体質に関係する3つの遺伝子タイプ

太りやすい体質のもととなる肥満遺伝子。大きく分けると、以下の3つのタイプに分類できます。

江越先生
江越先生

それぞれ、どんな遺伝子なのか見ていきましょう!

【りんご型】β3アドレナリン受容体遺伝子変異型

【りんご型】β3アドレナリン受容体遺伝子変異型

β3アドレナリン受容体はアドレナリンと結合することで、脂肪細胞にはたらききかけて脂肪を取り出します。つまり、「脂肪燃焼の調節」に関する役割があります。

β3アドレナリン受容体の変異(190番目のTがCに置換)を持つ人は日本人の約34%に存在していて、とくに男性に多いです。

この肥満遺伝子を持っている方では、褐色脂肪組織での脂肪燃焼効果が低下します。そして、安静時代謝量は顕著に低下するため、体重を減らすのはかなり難しくなるでしょう。

β3アドレナリン受容体遺伝子変異のある方の特徴は以下です。

  • 内臓脂肪がつきやすい
  • ぼっこりとしたお腹になる
  • りんご型

【洋なし型】UCP1遺伝子変異型

【洋なし型】UCP1遺伝子変異型

UCP1遺伝子は脂質代謝に関係する遺伝子です。

この遺伝子は、褐色脂肪細胞のミトコンドリア内にあるUCP1(脱共役タンパク質1)を活性化させる作用があり、脂肪を燃焼して熱を発生させます。つまり、「体温の維持」に関与しています。

UCP1遺伝子が変異を起こして上手くはたらかないと、褐色脂肪細胞でうまく脂肪を燃焼することができず、代謝が落ちてしまいます。

また、この遺伝子に変異がある方では、Ⅱ型糖尿病や高血圧のリスクも高いとされています。

UCP1遺伝子変異のある方の特徴は以下です。

  • 皮下脂肪がつきやすい
  • 腰やお尻の周りに脂肪がつきやすい
  • 洋なし型

UCP1遺伝子変異のある方は皮下脂肪がつきやすく、腰やお尻の周りに脂肪がつきやすいため、洋なし型と呼ばれます。

【バナナ型】β2アドレナリン受容体遺伝子変異型

【バナナ型】β2アドレナリン受容体遺伝子変異型

β2アドレナリン受容体は、脂肪の分解や燃焼を調節し、心拍や気管支拡張に必要なエネルギーの供給に関与しています。

この遺伝子変異がある場合は先に紹介した2つ(りんご型洋なし型)とは逆で、代謝が高いのが特徴です。

しかし、その代謝の高さがゆえに、タンパク質まで代謝してしまうのです。その結果、筋肉がつきづらい体質になってしまいます。

このタイプでは代謝が良いものの、やはり食べ過ぎてしまうと太ってしまうでしょう。また、筋肉がつきづらいため、いったん太ってしまうと痩せづらい、という特徴があります。

β2アドレナリン受容体遺伝子変異のある方の特徴は以下です。

  • 筋肉がつきづらい
  • 細身の体型になりやすい
  • バナナ型

太りやすい体質をチェックする遺伝子検査の方法2選

肥満遺伝子には3つのタイプがあることを紹介しました。ご自身がどのタイプなのかをチェックすることで正しいダイエットのアプローチを見つけられるようになるでしょう。

江越先生
江越先生

当院でも遺伝子検査を受けられますよ!

ファイヤークリニック

ここでは、医療機関で検査をする方法簡易キットを使って自分で検査する方法を紹介します。

専門の医療機関(クリニック)を受診する

遺伝子検査を実施しているクリニックでは、血液だけでなく唾液や口の中の粘膜といったさまざまなサンプルで遺伝子検査ができます。

遺伝子はどの細胞にも含まれている、いわば「人間の設計図」です。そのため、正確な検査のためには、“状態のよい”細胞を採取することが欠かせません。

その点を考慮すると、遺伝子検査におけるもっとも精度の高い方法が血液検査である、と言えるでしょう。

結果を医師から直接説明してもらえることも、クリニックで検査を受けるメリットです。

市販の簡易キットを使用する

「わざわざクリニックに行くのは面倒」という方は、簡易キットを使用して自宅で検査をしてみるのもよいでしょう。

簡易キットにおける検査方法は、唾液または口腔粘膜で行うものがほとんどです。

現在、さまざまな種類の検査キットが市販されています。

江越先生
江越先生

でも、どれを選べばいいの?

おすすめは「検査の結果をわかりやすく説明してくれるもの」です。

たとえ検査項目が多くても検査結果の見方がわからないと、その後、どうしたらいいのかがわからなくなってしまいます。

市販の検査キットを使う場合は、検査結果のわかりやすいものを使いましょう。

太りやすい体質の効果的なダイエット方法

太りやすい体質の効果的なダイエット方法

肥満遺伝子検査の結果、太りやすい体質であることがわかっても悲観する必要はありません。

正しい方法でダイエットをすれば、体重を落とすことはできますよ。

これら4つの方法はどれか一つを選んで行うのではなく、あわせて取り組むことでよりダイエット効果を発揮します。チェックして試してみてくださいね!

ファイヤークリニック

食事療法

ダイエットにおいて食事はもっとも大切な要素です。

ただし、太りやすい体質の方は、食事に”より一層の注意”を払う必要があります。

肥満遺伝子がある方は、たいした量を食べていないのに太ってしまったり、すぐにリバウンドしてしまったり、といった状況になりやすいのです。

そのため食べる内容に人一倍気をつける必要があります。

運動療法

太りやすい体質の方では、代謝が低くエネルギーを消費しにくい状態になっていることが多いです。

そうでない人に比べると、常に意識してカロリーを消費していかねばなりません。

江越先生
江越先生

以下の記事が参考になります!

きつい運動をしたからといって、必ず痩せられるとは限りません。

効率よく脂肪を燃やすことのできる運動の仕方を理解して、今後のダイエットに活かしていきましょう!

心理療法(認知行動療法)

心理療法(認知行動療法)は、食事療法運動療法の両方を無理なく続けていくために必要な方法です。

多くの人は、厳しい食事制限や運動を継続できません。ストレス解消のために食に逃げてしまう人もいるでしょう。

ダイエットを継続するためには、メンタル面のケアやストレスの管理を食事以外の方法で行う必要があります。そのために心理療法が重要な役割を果たします。

太りやすい体質の方は、そのままの食生活では生活習慣病になる可能性が高いでしょう。心理面から改善していく必要があるのです。

薬物療法(痩身薬・ダイエット薬)

太りやすい体質の方はそうでない人に比べると、ダイエットがスムーズに行きにくいでしょう。

その結果、ダイエットの効果が出る前に、あきらめて挫折してしまうケースが多いのです。

そこで痩身薬をうまく使うことで、体重を落としやすくなります。

痩身薬はそのはたらきから、以下の3つに分けられます。

  • 代謝を上げるもの
  • 食欲を抑えるもの
  • 排泄を促すもの

これらを体質や食生活にあわせて組み合わせることで、ダイエットが成功しやすくなるでしょう。

痩身薬については以下の記事でくわしく解説しています。

江越先生
江越先生

ぜひ読んでみてくださいね!

まとめ

あなたのダイエットがうまくいかない原因は太りやすい遺伝子のせいかもしれません。肥満遺伝子には3つのタイプがあり、自分がどのタイプなのかによっても最適なアプローチは異なります。肥満遺伝子検査をすることでこれまでになかったアプローチが見つかるかもしれません。

市販の簡易キットを使うと、病院に行かなくても遺伝子検査を受けられます。ただし、結果の説明を受けたり、血液検査で精度良く検査をしたい場合には専門のクリニックで検査を受ける方がよいでしょう。ご自身に合った方法はどちらか考えてみてくださいね。

遺伝子検査で「太りやすい体質」だとわかっても、ダイエットを諦める必要はありません。大切なのは正しい方法を選べるかです。「自分に向いているダイエットが何なのか知りたい」という方は、ぜひ一度ファイヤークリニックのカウンセリングを受けてみてください。

ファイヤークリニック

PROFILE

江越 正敏FIRE CLINIC総院長
2017年 佐賀大学医学部 卒業
2017年 都立松沢病院 勤務
2019年 都立多摩総合医療センター 勤務
2020年 FIRE CLINIC新宿院 開院
2021年 渋谷院、銀座院開院
2023年 新宿、渋谷、銀座、名古屋の4院に展開しFIRE CLINIC総院長を務める。