サウナダイエットは意味ないどころか逆効果?痩せない理由と得られる効果

サウナダイエットは意味ないどころか逆効果?痩せない理由と得られる効果

こんにちは、FIRE院長です!

皆さんはサウナは好きですか?

数年前からサウナブームが続いており、銭湯などに行くとサウナはいつも人でいっぱいですね。

「ととのう」という何とも言えない爽快感を得ることができるためハマっている人も多いと思います。

日頃運動習慣の無い人にとっては手軽に汗をかくことができるため、ダイエット目的にサウナに通っている人もいるのではないでしょうか。

今回はサウナにダイエット効果はあるかを検討していきたいと思います。

動画でも解説しているので、ぜひチェックしてみてください!

結論:サウナだけでは痩せない

結論:サウナだけでは痩せない

サウナに入ると大量に汗をかくため体重は一時的に減少します

ポーランドで行われた若い男性30人を対象とした研究では、12分間のサウナ入浴と1分間の水プールの入浴、5分間の休憩のセットを4回繰り返した前後で体重が平均で-1.5kgの減少を認めました。

Podstawski, R., Borysławski, K., Clark, C. C., Choszcz, D., Finn, K. J., & Gronek, P. (2019). Correlations between repeated use of dry sauna for 4 x 10 minutes, physiological parameters, anthropometric features, and body composition in young sedentary and overweight men: Health implications. BioMed research international, 2019.

上記の研究でも、サウナ入浴を数セット繰り返した後に平均1.5kgもの体重減少が確認されています。

実際、サウナ後に体重を量ったことがある方なら、数字として減っているのを確認した経験があるはずです。

ただ、この減少は水分が抜けただけで脂肪が減ったわけではありません。水を補給すればすぐ元に戻りますし、サウナで増える消費カロリーも安静時と比べて1時間あたり20kcal程度にとどまります。

1時間サウナに入ることができたとしてもそれくらいのカロリーしか余分に消費できていないのです。

汗をかき、心拍数が上がるため運動の代わりになるような間隔になりますが、運動と同等のカロリーを消費しているわけではありません。

サウナで体重が落ちるのは事実ですが、それはただの脱水状態であり、「痩せた」と考えるのは誤解です。人間の体はエネルギー不足には強いですが、水分不足にはうまく対応できません。


出典:水分損失率と現れる脱水諸症状の関係、日本体育協会、スポーツと栄養、108ページ、表7

サウナでも死亡例があるためダイエット目的にサウナを利用することはお勧めできません。

サウナで得られるダイエット効果

サウナで得られるダイエット効果

サウナそのものに脂肪を燃やす力はありませんが、ダイエットのサポートにつながる効果はいくつかあります。具体的には、以下の通りです。

  • 血流促進による疲労回復
    サウナに入ると体温が上がって血流が促進され、筋肉への酸素供給や老廃物の排出がスムーズになります。結果として、運動後の疲労回復や筋肉痛の軽減に役立ち、体を動かしやすい状態を保てます。
  • 睡眠の質の改善
    サウナの熱さで交感神経が刺激され、その後のクールダウンで副交感神経が優位になることで、自律神経のリズムが整います。その結果、入眠しやすくなり、深い睡眠効果が得られるのです。
  • ストレス軽減
    サウナには高いリラックス効果があり、気分を落ち着ける作用があります。これは、温熱刺激で副交感神経が優位になり、さらに発汗やホルモン分泌によって心が安定しやすくなるためです。

直接的に痩せるわけではありませんが、「続けやすさ」や「乱れを防ぐ効果」がサウナの持つダイエットへの価値です。

体重を落とすのはあくまで食事や運動の工夫なので、サウナはその習慣を支えるサポート役として活用する程度にとどめるのが適しています。

サウナに入ると体では何が起きる?

サウナに入ると体では何が起きる?

サウナに入ると起きる変化は、以下の研究で解説されています。

皮膚温度が約 40°C に上昇し、体温が 38°C から 39°C に上昇します。

Kauppinen, K. (1989). Sauna, shower, and ice water immersion. Physiological responses to brief exposures to heat, cool, and cold. Part III. Body temperatures. Arctic Medical Research, 48(2), 75-86.

第一段階では、血管拡張と汗腺からの体液排泄の増加によって余分な熱が排出されます。

第二段階では体温が徐々に上昇し 、視床下部と中枢神経系を介して体温調節経路を活性化し、自律神経系の活性化につながります。それにより交感神経系、視床下部-下垂体-副腎ホルモン系、およびレニン-アンギオテンシン-アルドステロン系の活性化が引き起こされ、心拍数、皮膚血流、心拍出量、呼吸数の増加などの心肺機能の活性化をもたらします。

Hannuksela, M. L., & Ellahham, S. (2001). Benefits and risks of sauna bathing. The American journal of medicine, 110(2), 118-126.

こうした変化によって、サウナは全身の血流や心肺機能を一時的に高め、体を活性化させる作用をもたらします。

サウナに入るメリット

メリット
  • うっ血性心不全の軽度改善
  • リウマチ性疾患による痛みやこわばりの改善
  • うつ病患者の身体的愁訴の改善
  • COPDの症状の改善
  • 総コレステロールレベルとLDLコレステロールレベルの低下

Hussain, J., & Cohen, M. (2018). Clinical effects of regular dry sauna bathing: a systematic review. Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine, 2018.

サウナの健康へのメリットに関する研究はこれまでたくさん行われており、上記のようなメリットが確認されています。

他にもたくさんの効果が研究されていますが、懐疑的な意見も多く更なる研究が必要と思われます。

サウナの利用は健康維持の一助にはなっても、医療的な治療の代わりになるわけではない点に注意が必要です。

ダイエット目的なら医療ダイエットのほうが確実

サウナで一時的に体重は減っても、それは水分が失われただけで脂肪が減ったわけではありません。直接的に痩せる効果を期待して通うのは現実的ではなく、脱水などのリスクも伴います。

本気で体重を落としたいなら、食事や運動の改善に加え、医療のサポートを取り入れる方が確実です。遺伝子検査や体組成測定に基づいたプランであれば、自分に合った方法を見つけやすく、無理なく続けられます。

サウナはあくまで健康維持やリフレッシュのために活用し、ダイエットの中心は医療や生活習慣の改善に置くのが最も安全で効果的です。

ファイヤークリニック

PROFILE

江越 正敏
江越 正敏FIRE CLINIC総院長
2017年 佐賀大学医学部 卒業
2017年 都立松沢病院 勤務
2019年 都立多摩総合医療センター 勤務
2020年 FIRE CLINIC新宿院 開院
2021年 渋谷院、銀座院開院
2023年 新宿、渋谷、銀座、名古屋の4院に展開しFIRE CLINIC総院長を務める。
2024年 公益財団法人ルイ・パストゥール医学研究センター 再生医療研究室 特任研究員

ダイエット

美肌・美容