FIRE CLINIC(ファイヤークリニック)

サクセンダの効果と副作用

最近、ダイエット薬として人気なのが「サクセンダ(GLP-1)」です。食べたいものを我慢して、筋トレやトレーニングを毎日行うのは、精神的にもきついですよね。しかし、抗肥満薬で知られるサグセンダは、食欲を抑える効果があり、投与することで自然に痩せる効果が期待できます。なぜそのようなことが可能になのでしょうか。今回は、サグセンダが痩せるメカニズムについてご紹介します。

1. サグセンダ(GLP-1)とは

サグセンダは、GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)受容作動薬といわれ、元々は2型糖尿病の治療薬として開発されました。

中高年に多く見られ、生活習慣病が主な原因といわれる2型糖尿病(T2DM)ですが、全世界で3億6600万人の糖尿病患者のうち、約90%が2型糖尿病を患っています*1

肥満は、2型糖尿病の発症リスクを7倍に高めることがわかっています2 。肥満の治療は、食事療法と生活習慣の改善が重要な柱ですが、既存の肥満治療薬の成功率は低く、肥満手術は難しいのが現状です3

従来、2型糖尿病の治療薬には、グリタゾン、インスリン、αグルコシダーゼ阻害剤などの血糖降下剤が用いられていました4。しかし、これらの薬は血糖値のコントロールを改善できますが、体重増加を引き起こすことが報告されていました。また、αグルコシダーゼ阻害剤は、ガスの発生量を増加させるなど、消化器症状の副作用により、2型糖尿病の治療を中断する患者さんも見られるほどでした5

そこで開発されたのがサグセンダ(GLP-1)です。GLP-1は、小腸と大腸のL細胞から分泌されるペプチドです6。ペプチドとは、皆さんが食べた肉や魚などのタンパク質がアミノ酸まで分解される一歩手前の状態の化合物のことを指します。GLP-1は、血糖値が高いときに分泌されて、血糖値を下げるはたらきをもっています。さらに、GLP-1は従来の2型糖尿病の治療薬と異なり、ヒトの臨床試験および実験動物モデルの両方において、体重減少効果が観察されています7

その結果、2014年12月、GLP-1(商品名サグセンダ:Saxenda)が、肥満患者の体重減少(ダイエット)治療薬として米国食品医薬品局(FDA)に承認されました。しかし、日本では未承認であるため、保険適応外の治療薬になっています*8

さらに、すでにインスリン治療を受けている患者さんにおいても、GLP-1を追加服用することにより、インスリンの投与量を減らすことができます。GLP-1とインスリンの併用療法は、インスリン療法に伴う副作用に対する患者さんの負担を軽減することができるという点でも効果的です*9

2. サグセンダのメカニズム

血糖値をコントロールするサグセンダ(GLP-1)ですが、なぜ痩せることができるのでしょうか。ここでは、GLP-1が痩せるメカニズムをご説明します。

口から入った食べ物は、消化酵素によってグルコース(糖)に分解されて、小腸で吸収されます。吸収された糖(血糖)は、肝臓に運ばれた後、血液を通して全身の細胞に運ばれエネルギーとして使われます。このときに、血糖を全身の細胞に取り込むようにはたらきかけているのがインスリンです。インスリンが正常に機能することによって血糖値が下がります。しかし、2型糖尿病の人は、インスリンのはたらきに異常があったり、インスリンの分泌量が減少したりなど、インスリンの不調により、正常に糖を細胞に行き渡らせることができずに、血糖値が下がらないという状態が続いてしまいます。

GLP-1は、インスリンを分泌する、膵臓のβ細胞への作用にして、インスリンの分泌を促進する効果があります*10。その結果、インスリンが正常に分泌され血糖値が下がります。また、2型糖尿病患者では、β細胞だけでなく、α細胞の機能異常も特徴的です。α細胞は、血糖値を上昇させるホルモン「グルカゴン」を分泌する細胞ですが、これが正常にはたらかないことで、血糖値のコントロール異常を引き起こします。GLP-1は、この膵臓のα細胞のはたらきを正常にすることも報告されました*11。その結果、グルカゴンによる血糖値の急上昇を抑えることができ、満腹感を増加させ、血糖値をコントロールすることによって、結果として体重減少につながるのです。

また、GLP-1は基礎代謝を高める効果をもつこともわかっています。基礎代謝とは、呼吸、体温維持、血流促進など、生命活動を維持するために必要最低限のエネルギーのことです。加齢に伴い基礎代謝は低下し、歳を取ると痩せづらくなるため*12、ダイエットをしてもなかなか体重が落ちない、お腹の脂肪が減らないなどの悩みが多く見られます。GLP-1は基礎代謝を高めるため、体質改善をしながら痩せられるダイエット法なのです。また、GLP-1は、脳内の海馬や視床下部のGLP-1受容体に作用して、満腹中枢を刺激して食欲を抑えることが明らかになっています*13

さらに肥満は、糖尿病を引き起こすだけでなく、アルツハイマー病をはじめとする認知症のリスクを高めることも報告されています*14。糖尿病患者さんの脳内では、神経細胞の数が減少することも報告されており、肥満と脳の関係性は大きいことが示唆されています。

GLP-1は、学習や記憶を改善する効果が報告されており、脳の神経細胞を増加させる新規薬剤であることから、アルツハイマー病などの神経変性疾患の治療薬として期待されています*15

以上のように、GLP-1は、食欲抑制、基礎代謝の上昇などさまざまな作用が組み合わさることで、ダイエット治療薬として大きな効果をもたらすことがわかります。特に、ダイエットする上で、重要な要素ともいえる「無駄な食欲」をコントロールできるのは大きいですね。また、ダイエット効果だけでなく、脳への効果も期待されることも嬉しいところです。

3. サグセンダの投与方法

サグセンダ(GLP-1)はどのように投与されるのでしょうか。まず、身体測定、BMI値の測定などにより、サグセンダの治療の対象になるかを確認します。投与実施の場合、血液状態やコレステロール値、脂肪量を測定します。

サグセンダは、1日1回、針を皮膚のすぐ下にある脂肪組織に刺す皮下投与で投与されます*16。胃液で分解されてしまうため、経口投与が難しいためです。投与された薬は、毛細血管に入り、血流に乗って運ばれ全身に行き渡り、効果を発揮します。

お医者さんの指導のもと、最小量からの投与をはじめ、徐々に身体を慣らしたあと、1週間ごとに投与量を増やしていきます。血液中のサグセンダの濃度を一定に保つためにも、食事に関係なく、1日のうちに投与する時間を決める必要があります。サグセンダは、用量調整の幅が広く、効率的に注射できます。また、自己注射できるため、クリニックに何度も通う必要がありません。ダウンタイムや痛みも伴わない治療法であることも人気の秘訣です。

4. サグセンダの副作用

サグセンダは、肥満治療に対する医薬品として優秀です。しかし、服用している患者さんの約30~40%が吐き気を報告しており、約10%の患者が服用を中止するという副作用も見られます*17。吐き気は、GLP-1の服用初期に見られることが多いようですが、体が慣れてくると、落ち着いてくる方がほとんどです。

また、血糖値を下げる効果をもつサグセンダですが、人によっては低血糖を引き起こす可能性もあります*18。そのため、過度なダイエット効果を期待して高濃度から服用するといったようなことは行わず、必ずお医者さんの決められた用量に従って服用することをおすすめします。

さいごに

サグセンダは、投与により食欲をコントロールすることができ、無理せず痩せることができます。食事や運動、ダイエットサプリ、色々試してもダメだった、何度もダイエットに挫折している、といった方は、一度サグセンダにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。もちろん、効果は個人差がありますので、自分にサグセンダが効果的かどうかを事前に相談しましょう。

また、ダイエット薬と聞くと誰でも使用できるイメージがありますが、妊娠中や、授乳中の方はサグセンダを使用することはできません。他にも、治療中の疾患がある方や、アレルギーをお持ちの方は、ご相談ください。

参考文献

*1 Global prevalence of diabetes: Estimates for the year 2000 and projections for 2030. Wild S, Roglic G, Green A, Sicree R, King H DIABETES CARE 2004 27 5 1047-1053

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15111519/

*2 Abdullah A, et al. The magnitude of association between overweight and obesity and the risk of diabetes: a meta‐analysis of prospective cohort studies. Diabetes Res Clin Pract2010;89(3):309–19.

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0168822710001944

*3 Knowler WC, et al. Reduction in the incidence of type 2 diabetes with lifestyle intervention or metformin. N Engl J Med 2002;346(6):393–403.

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/nejmoa012512

*4 NICE. The Management of Type 2 Diabetes. NICE Guidance CG87. NICE, 2009.

https://www.nice.org.uk/guidance/ta203/documents/nice-recommends-liraglutide-for-type-2-diabetes-mellitus4

*5 Floris Alexander van de Laar. Alpha-glucosidase inhibitors in the early treatment of type 2 diabetes. 4(6): 1189–1195, 2008.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2663450/

*6 Alhadeff AL, Rupprecht LE, Hayes MR. GLP-1 neurons in the nucleus of the solitary tract project directly to the ventral tegmental area and nucleus accumbens to control for food intake. Endocrinology 153: 647–658, 2012.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22128031/

*7 Niswender K, et al. Weight change with liraglutide and comparator therapies: an analysis of seven phase 3 trials from the liraglutide diabetes development programme. Diabetes Obes Metab 2013;15(1):42–54.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22862847/

*8 Holly E GurgleKaren White, and Carrie McAdam-Marx. SGLT2 inhibitors or GLP-1 receptor agonists as second-line therapy in type 2 diabetes: patient selection and perspectives. 12: 239–249,2006.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4902150/

*9 J. J. Holst  T. Vilsbøll. Combining GLP‐1 receptor agonists with insulin: therapeutic rationales and clinical findings. Obesity and Metabolism, 15: 3-14,2013.

https://dom-pubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/j.1463-1326.2012.01628.x?casa_token=cPvjHpLCh50AAAAA%3AmPH0Ch0lLAgQjy5BEHp6Q8bsrCCIv4tIjhhlKeYJiOFROyH1DUPF05I_ECIrj8WPzWNuCYjCvp6R-w

*10 Rosenstock J, et al. Advancing basal insulin replacement in type 2 diabetes inadequately controlled with insulin glargine plus oral agents: a comparison of adding albiglutide, a weekly GLP‐1 receptor agonist, versus thrice‐daily prandial insulin lispro. Diabetes Care2014;37(8):2317–25.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24898300/

*11 Baggio LL, Drucker DJ. Biology of incretins: GLP‐1 and GIP. Gastroenterology 2007;132(6):2131–57.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17498508/

*12 生活習慣病予防のための健康情報サイト 厚生労働省

*13 Nishizawa M, Nakabayashi H, Kawai K, Ito T, Kawakami S, Nakagawa A, Niijima A, Uchida K. The hepatic vagal reception of intraportal GLP-1 is via receptor different from the pancreatic GLP-1 receptor. J Auton Nerv Syst 80: 14–21, 2000.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2690432/

*14 A. Hamilton  S. Patterson  D. Porter  V.A. Gault  C. Holscher. Novel GLP‐1 mimetics developed to treat type 2 diabetes promote progenitor cell proliferation in the brain. Journal of Neuroscience 89: 481-489,2011.

https://pure.ulster.ac.uk/en/publications/novel-glp-1-mimetics-developed-to-treat-type-2-diabetes-promote-p-3

*15Valeria Calsolaro & Paul Edison . Novel GLP-1 (Glucagon-Like Peptide-1) Analogues and Insulin in the Treatment for Alzheimer’s Disease and Other Neurodegenerative Diseases. CNS Drugs 29: 1023–1039 ,2015

https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs40263-015-0301-8

*16 Erik Näslund  1 , N KingS ManstenN AdnerJ J HolstM GutniakP M Hellström

. Prandial subcutaneous injections of glucagon-like peptide-1 cause weight loss in obese human subjects.91: 439-46,2004.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15005830/

*17 Fujioka K. Current and emerging medications for overweight or obesity in people with comorbidities. Diabetes Obes Metab 17: 1021–1032, 2015.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4744746/

*18 Potts JE, et al. The effect of glucagon‐like peptide 1 receptor agonists on weight loss in type 2 diabetes: A systematic review and mixed treatment comparison meta‐analysis. PLoS One2015;10(6): e0126769.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26121478/

*19 医薬品医療機器総合機構 独立行政法人

https://www.pmda.go.jp/relief-services/adr-sufferers/0001.html
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