FIRE CLINIC(ファイヤークリニック)

勃起不全(ED)治療薬の種類と効果について

男性における最も一般的で、重篤な悩みに勃起不全(ED:Erectile dysfunction)があります。勃起不全は、主に40歳以上の男性に見られる一般的な疾患ですが、年齢を重ねるごとに増加していきます。全世界における勃起不全の有病率は、2025年までに3億2200万件に達するといわれており*1、日本における少子化問題の原因の一つでもあります。今回は代表的な3種類のE D治療薬についてご紹介します。

1. 勃起不全(ED)とは

勃起不全(E D)は、「膣内性交を成功させるのに十分な陰茎の勃起が得られない、または維持できないこと」と定義されています*2。この臨床疾患は、5000年以上も遡る、古代エジプトの経典に、男性の陰茎の勃起不全に関する記述が見られるなど、歴史的に古くから知られていました*3

勃起不全は、加齢に伴い増加傾向にあり、原因は、男性ホルモンであるテストステロンの分泌量が減少するためであると考えられています*4。テストステロンの減少は、陰茎への血液供給量を減らすため、加齢により、勃起の頻度や硬さが低下します。加齢以外にも、勃起不全は糖尿病、高血圧、高脂血症、メタボリックシンドローム、うつ病などに関連しており*5、喫煙、肥満、運動不足などの環境要因や生活習慣が、勃起不全の原因であることも報告されています*6

勃起不全は、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)や、慢性腎不全(CRF)患者においても観察され、外傷による陰茎組織の損傷が原因であるだけでなく、誰にでも起こりうる疾患として考えられています*7。最近の研究では、勃起不全は、冠動脈心疾患、脳卒中の死亡リスクの増加と関連しているという報告もされているだけでなく*8、慢性疾患に伴う疲労、ストレス、抑うつなどの心理的要因が、勃起力低下のリスクファクターとなることもあります*9

2. 3つの主な治療薬

2-1. バイアグラ (有効成分 シルデナフィル)

1998年、世界で初めての有効な勃起不全の治療薬、「バイアグラ」がアメリカのファイザー社から発売され、世界における愛用者の多い治療薬になっています*10

通常、性的興奮により一酸化窒素(NO)が放出されると、環状グアノシン一リン酸(サイクリックGMP)が増加します。しかし陰茎海綿体には、「ホスホジエステラーゼ5(PDE5)」という酵素が豊富に存在しており、サイクリックGMPを分解してしまいます*11

射精後や、性的興奮が収まった賢者タイムで勃起が終わっているのは、ホスホジエステラーゼ5が、サイクリックGMPを分解するためです。ホスホジエステラーゼ5がサイクリックGMPを分解することで、血管や平滑筋が閉じ、勃起が収束します。しかし、性交時にホスホジエステラーゼ5が増えすぎてしまうと、サイクリックGMPが分解されてしまい、これにより勃起が妨げられてEDにつながります。バイアグラの有効成分である「シルデナフィル」は、選択的ホスホジエステラーゼ5型阻害剤(PDE5-Is)と呼ばれる特徴的な薬剤群に属しており、選択的ホスホジエステラーゼ5型阻害剤が、ホスホジエステラーゼ5のはたらきを抑えることでサイクリックG M Pを増やし、勃起しやすい状態に導いてくれるのです。バイアグラが発売されて以来、バイアグラはED治療の柱となっています。以下にバイアグラの処方時の詳細についてお伝えします。

バイアグラは、空腹時の服用が適切で、満腹時の服用は効果が半減してしまいます。食事内容にも注意が必要であり、脂質の多い、油っぽい食事などとバイアグラの同時内服は、効果を減少させてしまう恐れがあります。バイアグラは性的刺激を受けて60分後に作用するため、性行為の約1時間前に服用する必要があります*13

バイアグラは、陰茎の収縮期および拡張期の血圧をわずかに低下させる特徴があり、硝酸塩や硝酸塩含有薬などとバイアグラを同時内服すると、血圧を下げ過ぎてしまう恐れがあります。そのため、心臓病を患っている方で、心臓の冠動脈を拡げ、心臓の負担を軽減する薬である、硝酸塩や硝酸塩含有薬を使用している患者さんのバイアグラの服用は禁じられています。また、リオシグアト(肺高血圧症治療薬)を併用することにより、細胞内のサイクリックGMP濃度が増加し、血圧に負荷がかかることで、症候性低血圧を起こす可能性もあります*14

2-2. シアリス(有効成分 タダラフィル)

次に、2009年に承認された「シアリス」という日本新薬により製造されているE D治療薬についてご紹介します。「タダラフィル」を有効成分としたシアリスですが、こちらもバイアグラと同様に、サイクリックG M Pを分解する、ホスホジエステラーゼ5のはたらきを抑えることで勃起を導く、強力な選択的ホスホジエステラーゼ5阻害剤です。シアリスの特徴は、勃起持続時間が36時間であることから、金曜日の夜に服用すると日曜日の昼まで効果を維持しているため、「ウイークエンド・ピル」とも呼ばれています。36時間という、長時間の作用により、シアリスは食事の影響を受けにくく、自由度が高い治療薬として使用されています*15。硝酸塩や硝酸塩含有薬を使用している場合、心臓に大きな負担がかかるため、シアリスの服用は禁じられています。

バイアグラで最も多く報告されている副作用である、消化不良、頭痛、顔の火照りに関して、シアリスでは、副作用が出にくいとされています。

バイアグラと同様に、空腹時の服用が適切で、満腹時の服用は効果が半減します。

また、性行為の約1時間前に服用するのがおすすめです。

2-3. レビドラ(有効成分 バルデナフィル)

もう一つ、代表的なE D治療薬としてレビトラがあります。こちらも、上記2つのE D治療薬と同様、強力な選択的ホスホジエステラーゼ5阻害剤です。ドイツに本社をもつバイエル薬品により製造されました。レビトラの有効成分は、バルデナフィルで、服用から効果が出るまでの時間が短く、また、長期の服用でも安定した効果が得られるのが特徴です*17。レビトラは、ホスホジエステラーゼ-5を阻害する作用がバイアグラよりも強く、より選択的に作用します。また、レビトラがバイアグラより優れている点は、ホスホジエステラーゼ-6も同時に阻害するため、E D治療薬の副作用の一つである、色覚異常が見られないことです*18。さらに、レビトラは、降圧剤を服用している方にも効果が認められています。最近では、前立腺切除術の既往歴のある男性のEDを有意に改善し、レビトラがうつ病からくる勃起不全を回復させたことが明らかになっています*19

以下にレビトラの処方時の詳細についてお伝えしますバイアグラと同様に、空腹時の服用が適切です。

また、レビトラは水に溶けやすく、即効性が高いのが特徴であるため、性行為の約30分前に服用するのがおすすめです。

3つのE D治療薬は、共通して、ホスホジエステラーゼ5阻害剤ですが、3種間で作用時間や効能が多少異なります。特に、シアリス(タダラフィル)>バイアグラ(シルデナフィル)>レビドラ(バルデナフィル)の順で長期間に作用します。ファイヤークリニックでは、バイアグラとシアリスの処方を行っております。

3. グレープフルーツとの服用は注意

上記3つのED薬は、グレープフルーツと同時内服すると勃起増強効果があるため、注意が必要です。バイアグラは体内の酵素である、シトクラムP450 (CYP3A4)によって代謝されるのですが、逆に、グレープフルーツは、シトクラムP450の阻害効果を持っています。そのため、グレープフルーツは、バイアグラの血漿中濃度を増加させる可能性があり、勃起増強を引き起こしてしまいます*12。バイアグラ絶大な効果を期待して、バイアグラをグレープフルーツジュースで服用したところ、心疾患を患ったという方も実際にいらっしゃるほどですので、気をつけましょう。

さいごに

問診の際は、勃起不全の発症時期、勃起不全の原因となる疾患(動脈硬化症、糖尿病、手術や外傷の有無、精神疾患など)の情報が重要になります。さらに、薬剤摂取が原因となり、勃起不全につながっている可能性もあるため、最も一般的な薬剤である、サイアザイド系利尿薬やβ-アドレナリン受容体拮抗薬などの抗高血圧薬、精神療法薬、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などの抗うつ薬などを服用していないか、注意が必要です*20

また、ご自身の判断で摂取量を増やすのは禁物です。薬の効果には個人差があるため、もしも指示された量で効果が得られない場合には、担当医師に相談しましょう。

参考文献

*1CG Bacon, MA Mittleman, I Kawachi, E Giovannucci, DB Glasser, EB Rimm, Sexual function in men older than 50 years of age: results from the health professionals follow-up study

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https://www.acpjournals.org/doi/abs/10.7326/0003-4819-139-3-200308050-00005

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https://bjui-journals.onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1046/j.1464-410X.2002.02911.x

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https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0025619611608173

*6 JY Cheng, EM Ng, Body mass index, physical activity and erectile dysfunction: an U-shaped relationship from population-based study, Int J Obes (Lond), 31 (2007), pp. 1571-1578

https://www.nature.com/articles/0803639

*7 F. Fanfulla, S. Malaguti, T. Montagna, et al., Erectile dysfunction in men with obstructive sleep apnea: an early sign of nerve involvement, Sleep, 23 (6) (2000), pp. 775-780

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*8 JY Dong, YH Zhang, LQ Qin, Erectile dysfunction and risk of cardiovascular disease: meta-analysis of prospective cohort studies, J Am Coll Cardiol, 58 (2011), pp. 1378-1385

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*9 SD Chung, YK Chen, HC Lin, HC Lin, Increased risk of stroke among men with erectile dysfunction: a nationwide population-based study, J Sex Med, 8 (2011), pp. 240-246

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1743609515332288

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*12 Alexander Jetter, Martina Kinzig‐Schippers, Monika Walchner‐Bonjean, Ursula Hering , Jürgen Bulitta, Philipp Schreiner ,Fritz Sörgel, Uwe Fuhr, Therapeutics, Effects of grapefruit juice on the pharmacokinetics of sildenafil, Clinical Pharmacology & Therapeutics , 71 (2002), pp. 21-29

https://ascpt.onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1067/mcp.2002.121236?casa_token=DQW6Q6XerWQAAAAA:wQmRfUxUgrlW02dEfsAUWPCg4BSBSnZAZeAenf8zzWLw_sJRrnI4ZT8BDwaqwIjju4H3jyHctpsUQA

*13 Eric Wespes , Edouard Amar, Dimitrios Hatzichristou, Francesco Montorsi, John Pryor, Yoram Vardi, Guidelines on Erectile Dysfunction, European Urology, 41, (2002), pp.  1-5

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0302283801000082

*14 M.D. Cheitlin, A.M. Hutter Jr., R.G.Brindis, P. Ganz, S. Kaul, R.O. RussellJr., R.M. Zusman

Use of Sildenafil (Viagra) in patients with cardiovascular disease, Circulation, 99 (1999), pp. 168-177

https://www.jacc.org/doi/abs/10.1016/S0735-1097(98)00656-1

*15 S. L. Washington III and A. W. Shindel, A once-daily dose of tadalafl for erectile dysfunction: compliance and efficacy, Drug Design, Development and Therapy, 4(2010), pp. 159–171

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2939761/

*16 Xiuwei Shen, Fan Chen, Fengwei Wang, Peng Huang, Wenchao Luo, The Effect of Grapefruit Juice on the Pharmacokinetics of Tadalafil in Rats, BioMed Research International, (2020)

https://www.hindawi.com/journals/bmri/2020/1631735/

*17 Wayne J. G. Hellstrom, Vardenafil for Treatment of Men With Erectile Dysfunction: Efficacy and Safety in a Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Trial Breakthroughs in Andrology, Journal of Andrology, 23, (2002)

http://www.usrf.org/news/030303_PDE5_inhibitors/Helstrom02.pdf

*18 Sheila A Doggrell, Comparison of clinical trials with sildenafil, vardenafil and tadalafil in erectile dysfunction, (2005), pp. 75-84

https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1517/14656566.6.1.75

*19 Raymond Rosen et al., Efficacy and Tolerability of Vardenafil in Men With Mild Depression and Erectile Dysfunction: The Depression-Related Improvement With Vardenafil for Erectile Response Study, The American journal of Psychiatry(2006)

https://ajp.psychiatryonline.org/doi/full/10.1176/appi.ajp.163.1.79

*20 Keene LC and Davies PH, Drug-related erectile dysfunction, Adverse Drug Reactions and Toxicological Reviews, 18(1999) pp. 5-24

https://europepmc.org/article/med/10401520
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