マスク生活でたるみ?自分でできる予防方法

はじめに

マスクをしていると鼻呼吸がしにくく、気づけば口が半開きで口呼吸になっていたということはありませんか?「最近顔が老けて見えるようになった」と感じるのであれば、もしかしたらマスク装着による表情筋の低下や口呼吸が原因で、口元がたるみ出したのかもしれません。マスクを着けていれば、私達は口元に緊張感をなくしてしまいます。口元が見えないために、無理をして口元に笑顔を作る必要がなくなるからです。

2021年4月末現在も東京都や大阪府で緊急事態宣言が発令され、今後もしばらくはマスク着用を続けなければならないでしょう。ここでは、マスクが顔のたるみにつながる原因や、日常生活で気を付けるべきポイントについてご紹介します。

1. マスク生活で顔がたるむ原因

1-1. 表情筋の低下

20〜30歳代の肌は、皮膚と表情筋を密着させる線維組織であるコラーゲンが引き締まっており、お肌にハリがあります。しかし、加齢に伴ってこのコラーゲンは減少し、40歳を超えた頃から、皮膚と表情筋の密着に緩みが出ていきます。繊維組織に隙間が発生すると皮膚を支えきれなくなって、たるみを引き起こします。

しかし、マスク生活が続くと、加齢に関係なく顔がたるむことがあります。人と対面で接する機会が減り、表情を作る筋肉に緊張感がなくなり、マスクをしていると知らないうちに顔の下半分がこわばった表情になりがちです。

そうすると、口周りの筋肉が緩み、表情筋が使われなくなるとどんどん下がります。その結果、ほうれい線、シワ、たるみが目立つようになってしまいます。

特に口の周りの「口輪筋」は、口の周りを取り囲むように輪になっていて、大部分が骨に付いていないため、年齢に関係なく衰えやすい筋肉です。マスクをしていると口呼吸になり、口輪筋を使わなくなることもあって、顔がたるみやすくなります。

1-2. 口呼吸もたるみを進行させる原因となる

日本人の8割が口呼吸と言われています。スマホやPCを使用の際、下を向くことが多くなり、鼻呼吸で気道確保ができないため、口呼吸の方が楽に感じてしまうのです。鼻呼吸は口呼吸に比べ、気道抵抗が50%大きくなり、呼吸量が減ります。

(参照:https://www.himeji-med.or.jp/file/up/healthpark/bridge201901.pdf)

「気道抵抗」とは、気道を流れる空気の「通りにくさ」のことで、気道内径の変化を伴う気道障害の指標となっています。口呼吸の場合、気道抵抗をショートカットできるため、鼻呼吸に比べて気道抵抗が極端に少なくなります。マスクを装着しなくても口呼吸の癖がついている人は、ほとんどの人がマスクを着けている時にも口呼吸になっています。マスクをすると、さらに気道抵抗が高まり、鼻で呼吸するのは息苦しさを伴うからです。

口呼吸は、顔のたるみ、しわ、二重アゴなどの見た目に関わる部分で影響が出ますが、実はそれ以外にも口呼吸というだけで色々な症状が現れます。

・口や喉の乾燥を引き起こし、虫歯や歯周病になりやすくなる

・口臭やいびきの原因にもなります

・喉のリンパが炎症を起こしやすくなる

※口や喉のトラブルを引き起こすのは、鼻呼吸では、ホコリ、細菌、ウイルスなどをろ過できる一方で、口呼吸では直接喉を通り肺に入っていくからです。

その他では、体が緊張状態と勘違いしてしまい、睡眠中も体がリラックスすることができず、自律神経が乱れることがあります。

2. たるみ予防は鼻呼吸と表情筋を意識すること

2-1. 口呼吸を鼻呼吸に変えていく

子どもや高齢者が口呼吸になりがちなのは、表情の筋力が弱かったり衰えたりするためです。口呼吸を長年続けて来て筋力が弱っている人が鼻呼吸に戻すのは、簡単なことではありません。

大阪大学名誉教授の杉田義郎氏は、口呼吸を鼻呼吸に変える方法を紹介しています。習慣的な口呼吸の人は口を閉じる口輪筋の力が低下していることから、「あいうべ体操」を推奨しています。これを実行しているある小学校では、冬にインフルエンザに罹患する子どもが9割も減ったとの実験結果があります。1日30回、約1ヶ月続けると口呼吸へと改善が期待されるとのことです。

参照: https://kyosai.univcoop.or.jp/useful/column/col1812.html

2-2. 意識して笑顔を作るようにする

顔の表情は皮膚の下にある30種類以上の表情筋で作られます。笑顔のような前向きな表情は、表情筋を上に動かします。一方、気難しく見えるネガティブな表情は、主に口まわりの表情筋を下に動かします。ポジティブな表情をする時の上への動きは意識が必要です。一方、ネガティブな表情をする際の下への動きは無意識でもできてしまいます。下に動かす筋肉の方が人間にとって楽なので、優位に働いてしまいます。

日常生活では表情筋のうち30%程度しか使っていないと言われ、一般的には、ネガティブな表情の方がやや多いということが研究で分かっています。これは生物が生き残る上で、「恐怖」「嫌悪」などの感情が敏感にならなければ生存できないという情報がDNAに記憶されているからです。危険を察知してすぐに行動が起こせるようにするために、人間の本能に組み込まれているのです。

ネガティブな表情は、知らず知らずのうちに表情に現れますが、笑顔などのポジティブな表情は、意識しないとできません。マスクの下でも意識して笑顔でいることが大事です。

さいごに

表情筋は腕や足を動かす骨格筋とは異なり、頑張って鍛えても筋肉量は増加しません。筋肉の活動量は「長さ×太さ×使用する時間」で示しますが、そもそも筋肉の体積が少ない表情筋の場合「使う時間」を長くする以外に鍛える方法がありません。マスク生活で口元がたるんでいると気づいたら、今日からすぐにでも表情筋を意識して使い、鼻呼吸を取り入れましょう。

ファイヤークリニックではたるみ改善の治療として、ハイフやラジオ波をご用意しております。しばらく表情筋のトレーニングをやってみたけどなかなかたるみが改善しないという方は、ファイヤークリニックにお気軽にご相談ください。

ファイヤークリニック

PROFILE

江越 正敏FIRE CLINIC総院長
2017年 佐賀大学医学部 卒業
2017年 都立松沢病院 勤務
2019年 都立多摩総合医療センター 勤務
2020年 FIRE CLINIC新宿院 開院
2021年 渋谷院、銀座院開院
2023年 新宿、渋谷、銀座、名古屋の4院に展開しFIRE CLINIC総院長を務める。